不法侵入な臨也とツンツンツンデレ彼女





「やあおかえり、遅かったね」
「は、何やってんの」

 玄関の戸が開く音に反応して帰ってきた彼女をあたたかく迎えてあげようと振り向いた俺を、彼女は至極冷めた目で見ている。

「え、てか、不法侵入?」
「恋人が彼女の部屋に来ちゃいけないって言うの?」
「ただの顔見知りだと思うんだけど。…で、どうやって入ったの」

 元々冷たい声が、さらに冷たく鋭く発せられた。どうやって入ったって、そりゃあ、鍵がなかったら入れないでしょ。この間作った合鍵を取り出し見せてあげると彼女は一瞬眉をぴくりとさせて俺を殴ろうとした。もちろん避けたに決まってる。彼女はまるで青い炎を纏っているかのように静かな怒りを露わにしていた。
 ちなみに誤解を生むようなので言っておくが恋人と言うのは事実である。嘘だと思うならシズちゃんとか新羅とかセルティとか波江さんに聞いてみるといい。彼女本人は照れ隠しにこうやって否定するが実は結構多くの証人がいるのである。

「私はそんなもの渡した覚えはない!返せ!」
「まあまあ、これを期に部屋の出入り許可ということで」
「絶対無理、あんた何するかわかんないし。だいたい不法侵入するような奴信用できるかっての」
「恋人でも?」
「恋人でも」

 あ、今さらっと恋人だって認めた。

「だいたいさ、まあわかってたことだけど、臨也自分勝手すぎ。何それ、無邪気なつもり?全然可愛くないからむしろむかつくから」
「ひっどいこと言うねえ、俺はただ君が好きなだけなのに」
「じゃあもっとマシな表現にしてください」
「マシな表現って言われてもねえ…」

 うーんと首を傾げてみせると彼女はわからないなら考えろと言った。本当はどうしてほしいのかくらいわかってる。控え目にしろってことでしょ。でもわかっててもしないのが俺なんだよね、申し訳ないんだけど。
 にやっと笑うと彼女は何かを察知したようだったけど、逃げる前に捕まえてやった。そしてその綺麗な唇にキスをする。この軽い感じのキスが俺は好き。多分彼女も好き。だって今すっごく顔を赤くして、言い返す言葉も出てこないみたいだし。

「今日はこれくらいで帰ってあげるよ。じゃあ、また来るね」
「来んでいい!」


100901


短いし完成度低いのでボツってことで。ただ勝手な臨也さんが書きたかったんです。