本当に馬鹿だよね、馬鹿としか言いようがない。あの人も、ここにいる君も。普通彼氏以外の男と2人きり、なんてさ、危ないに決まってる。ましてや僕なんか。まさか、僕が何もしないと思ってるの?
「しかも寝てるし」
気持ち良さそうに寝息をたてるこの女を見て溜め息をつく。自称・僕の家庭教師だというあの男は危ないところへは連れていけないから頼む、なんていって彼女を僕のところへ置いていった。甘いね。知らないよ?僕に頼んだあなたが悪いんだ。半分やけになり、そっと彼女の顔に近づく。
「ん、・・・」 「・・・・・」
寝込みを襲ってやろうと、あの男から奪ってやろうと思った。でもやっぱりできないのは、僕が本気でこの人のことが好きだから。良くいえば、彼女の幸せを願っているということになる。悪くいえば、単に僕が小心者ってだけ。ならせめて、これだけは許してもらえないだろうか。
最初で最後のキス (少しだけしょっぱいのはきっと僕の涙のせい)
080615
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