「なあ、もし好きになっちゃいけない人を好きになったらどうする」
いきなりの発言に、俺の双子の姉はきょとんとしている。大丈夫かこいつ、みたいな顔で。そりゃそうだ。意味がわからないに決まってる。
「なに、赤也、先生とか好きになっちゃったの?」
笑いをまじえながらからかい気味に言う。まったく、こっちは真剣に訊いてるっていうのに。
「別に、そんなんじゃないけど」
「じゃあお金持ちのお嬢さん!」
「違う」
「人妻?」
「でもないし」
「もしかして男・・・」
「やめてくれ」
「じゃあやっぱり、」
「誰も俺のこととは言ってないだろ!」
苛々してきて少し大声でそう怒鳴ると、ごめんごめんとまた笑いながらの軽い謝罪。実際、俺のことなんだけど。心の内ではそう思いながらも、ここは俺ではないことにしておくとして。何でこうも姉という候補が浮かばないんだ。普通、禁断の恋と言ったら近親相姦だろ。
「あたしはさ、自分の気持ちから逃げないよ、多分」
意外にも真剣な答えが出たことに驚き振り向くと、今度はにしし、と歯を見せて笑う。お姉さまからの貴重なアドバイス、そのお友達に言っとけば、と言うと自分の部屋に入って戸を閉めた。頼むから愛らしい笑顔を見せないで。俺に勇気を与えるような言葉を吐かないで。俺だって本当はそうしたいさ。でも、言ってしまえば困るのはお前だろ。答えを求めたのは俺なのに、俺はその答えを拒む。悪いけど「お姉さまからの貴重なアドバイス」は役に立ちそうもないよ。
抑えて抑えて閉じ込める (愛したいのに愛せない)
080608
(赤也ってこんなんだっけ。本人の性格まるで無視;)
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