あたしはあなたという惑星の周りを回っている衛星みたいだね。そんなことを言うとあなたは、逆だよ、なんて言ってきた。
「あたしそんなに自己中心的じゃないよ」 「じゃあ僕はそうだって言うのかい?」 「うん」
だってあなたほど自己中心的な、というか、マイペースな人はいない。多分、世界中のどこを探しても。言いすぎかな、でも本当に世界は恭弥を中心軸にして回ってるんじゃないかって時々思う。私はその惑星の重力に引き寄せられて、遠心力で対抗してなんとか取り込まれないで周りを回っている。どちらかの力が強すぎると近づきすぎて衝突かあるいは離れていってしまう、なんて考えるのはやっぱり可笑しいのだろうか。
「ほんと、考えが馬鹿だよね」 「うそ、知的な思想でしょ?」
惑星とか周回軌道とか、頭の良い人が考えそうなことじゃない。するとあなたは、そうゆうとこが馬鹿なの、とため息をついて、立ち上がったと思ったらいきなり無防備な唇にキスをした。ほら、やっぱりあなたが中心じゃない。
周回軌道上 (振り回されるのはいつだってあたしのほう)
080601
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