どうしても、どうしても伝えたいことがある。伝えなきゃならないことが。

「あっちいっても元気でね」
「まあ、頑張れよ」
「いっぱい電話するね」

「うん、みんな、ありがと!」

ツナが言い出して、みんなで出発前に見送りに行こうという話になった。ツナとか獄寺とか、笹川さんとかその他もろもろ、別れの言葉を贈っているのを俺は遠くから見ている。声をかけたいのに、なんていえばいいかわからない。頑張れとか元気でねとかそういうことでなくて、俺が1番言いたいことがちゃんとあるんだ。だから言わせてくれよ、動け俺の足、あの子の元へ。

「そろそろ行かないと」

そうこうしている間に彼女は行ってしまう。待って、行かないでくれ。そう声も掛けられずに彼女の背中を見つめてる俺を見兼ねたのか、あの獄寺がぽん、というよりどん、と俺の背中を押した。



「ぐずぐずしてんじゃねー、早く行け」

こいつにしては察しがいい、と少し感心して、そのおかげで踏み出せた足をさらに前に。

「、ちょっと待った!」
「山本くん」

少し小走りで、歩いていく彼女を呼び止めると、振り返ってこっちを見た。駄目だ、緊張する。でも、今言わないと。

「あの、さ」
「うん?」



すき、だ



One Step
(すると君は笑顔を返してくれた)(ああ、もうこれ以上の幸せなんてない)


080523