「  、どこ行くんだよ」

「今日ね、私が生まれた日なの」

「?」

「だから赤也、 年後まで、ばいばい」

「え、ちょっと!」




という夢を見た。小学生ぐらいの俺と、白い霧の中に消えていった綺麗な女の人、一体何の夢だ。携帯の画面を見ると今日の日付は2月29日。なんだっけ、あれだ、閏年なんだ今年は。だからといって別に特別なことがあるわけでもなく、確か今日も普通に学校がある。
寒いけど仕方ない、と暖かい布団から出ようと横を見ると夢と同じ女の人が立っていた。まだ夢の中にいるのか、二重で夢を見ているのか、俺は。ああでもさっきとは違う、今度は俺は中学生だ。彼女は夢とまったく同じだけど。そんなことを考えてるとその女の人は俺に優しく笑いかけてこう言った。

「久しぶりだね、赤也」

あ、そうだ、さっきのは夢なんかじゃなくて、いや夢なんだけど過去の記憶が見せた夢であって、つまり俺はこの人を知っている。そうだ思い出した、今日は彼女の生まれた日だった。

「うん、4年ぶり」

柄にもなく俺は子供のように思いっきり抱きついた。ああでもやっぱりこの人は今日も霧に消えていくのだと思うとやっぱり寂しかった。


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080919

企画:366日目の軌跡