我が君、どういたしますか。我が君、あなたはなんと心優しい。我が君、我が君…って、お前何回言ったら気が済むんだ。恋人ぶるなよ、姫さんにはちゃんと他に恋人がいるんだから。

「ちょっと、なんか黒いオーラ出てんだけど」

「だって那岐、あんたいいのあれ」

「別に、ただ喋ってるだけだし」

「いやでも柊だよ?姫さんに何するかわからんよ?」

「心配しすぎ」

そういいつつ那岐はさっきより少し速歩きで前を歩く2人に割り込み、柊に何か言っていた。すると柊はこっちを振り向き笑った。そして足を止めて私の横に並んで歩く。

「ふふ、嬉しいです」

「は、何が」

「あなたが私に嫉妬してくださってたなんて」

「あの、まったくそんな事実はありませんけどそれはもしや那岐が?」

「ええ、あいつがうるさいからいってやれ、と」

「うーんそれ妬いてるとは一言も言ってないよね。私は那岐が妬いてんじゃないかと思ってさ、」

「隠さなくてもいいのですよ」

「いやいや自意識過剰だよそれ」

「そんなあなたも愛らしい」

「おーい話聞いてますか」

1人で話を進める柊に反論する気力もなくなった。どうしてこの男はこうも良い方向にしか考えられないのか。ある意味すごいよ。

「私の主君は我が君です。この命はあの方に捧げたい」

なにをいきなり。当たり前だよ、私の主君だって姫さんだ、今ここにいる時点で命だってあの人のために使おうって。

「ですが、愛する人はあなたです」

「な、」

「愛情はすべてあなたのために、」

「そ、ゆこと、さらっと言うな!」

あああどもってしまった。私はこう見えて純な女なんだ、こうゆうのは慣れてないんだよ。別に好きだからときめいたとかではないんだよ。

「ああ、みんなに置いていかれてしまいますね」

さあ、と手をさしのべるのだと思ったら、断りもなく私の手をを引いた。

うわ、わ、やめろやめろ。こんなことしても惚れないよ、惚れてなんかやらないよ。だってあんたに恋するのって、何故か辛そうな気がするんだ。どうやっても結ばれない気がするんだ。これがあんたを好きになりたくない理由、なんです。



藍色の予感
(どうしてだろう、ね)


080824

話がよくわかりませんごめんなさい