ずっとすきだった、わたしもだよ。ずっと想い続けてた人からの愛の告白に応えて、そして夕日の赤い光が差し込む教室でキス。それから手を繋いで歩いて帰る。もちろん彼はわたしの家まで送ってくれて、もうちょっと家が遠かったらいいのに、それならもっと一緒にいれたのに、なんて別れを惜しみながらまた明日ね、と手を振る。それから夜には声が聞きたかっただけとか言いながらぐだぐだ電話を、
「だったらい〜のにな〜」
「ちょっとまだ途中なんだけど。邪魔しないでくださいな」
「夢見てんなよそんなうまい話あるわけねーだろ」
「イメトレだよいつかこうなるんだよあとで悔しがっても知らないから」
「鏡見てから言えってか現実みろ」
「うるへー世の中見た目より中身なんだよ」
「中身まですさんだ奴が何いってんでィ」
「いやいや澄みきってますからまじスケルトンですから」
「ああ透けてんのかだからさっきの妄想も声に出てたのか」
「妄想じゃなくてイメトレっつってんだろ」
せっかくイメージトレーニングというやつをしてたのに。誰かさんのせいで気が散って終わってしまいましたよ。しかも酷いことばっかいいやがって超むかつくーって感じですよコノヤロー。
「それ叶えてやろうか」
「え、」
意味がわからないんですけど。てか「やろうか」って何で上から目線なんですかこの人。ちょっと考えさしてください現在思考停止しています、えーとえーと…もしかして、
「ずっと好きだった パシリとして彼女にしてやるよ」
「…わたしもだよ 一言多いんだよ誰がパシリなんかなるか」
それから夕方の教室でキスして手を繋いで帰って、また明日ねって手を振って、夜にはぐだぐだと電話もした。さっきまで馬鹿にしてたのはどこのどいつですかまったく。
願ったり叶ったり (イメトレすげえ)
080814
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