第一段階。君が僕に笑顔を見せなくなった。怯えた目で僕を見た。そんなに怖がらなくてもいいのに、君が何もしなければ僕も何もしなかったのに。
第二段階。君はいつのまにか感情を表さなくなった。笑顔だけでなく、怯えた表情すら見れなくなった。無表情で、僕の言うことをすんなり聞くようになった。そんなことをされると、僕はますます欲が深くなる。
第三段階。ついに君の声が失われた。僕が何を言ってもこちらを見ずにこくりと頷くだけ。そんなことにさせるつもりはなかったんだけど。
第四段階。やっと僕が自分の罪に気づく。さいていだ、さいあく、だ。なんてことをしてたんだろう。君の笑顔を奪って、感情を奪って、声まで奪って。一生許されない罪だ。君もきっと僕が憎いに決まってる。あ、いや、君にはそんな感情さえももうなかったんだ。僕が、奪ったから。
第五段階。悲しむ僕を見て君は泣いていた。え、あれ、感情はもうないんじゃなかったっけ。目を見開いて彼女を見ていると、無言で抱き締められた。思わず自分も泣きたくなった。こんなにも、こんなにも優しい君の心を、僕は。
微かな希望 (今からでも楽しかったあの日に戻れるかな、)
080811
title:メアリーは恋をした
|