『山本くん、あなたがすきです』
一言で愛の言葉が書かれたそのただの紙切れ一枚を眺める。これは昨日の帰りに自分の下駄箱に入ってたもの。そしてこの紙の最後には奇妙なことに一行分ほど空いているのだ。俺の記憶では昨日、その右端に差出人の名前が書いてあったはず。名前か苗字か、というよりその名前自体は思い出せないが。
おかしいな、名前を見て顔も浮かんだのにな、あいつか、って純粋に喜んでたのにな。なんで、なんで今は顔が浮かばないんだろう。
もやもやしながら、次は、春に撮ったクラスの集合写真を眺めてみる。きちんと整列された中で、俺の隣はぽっかり一人分のスペースが空いていた。何故だかわからないけど、悲しいとか寂しいとかそういうのじゃないけど、心に穴が空いたみたいな気持ちになった。ねえ、きみはどこへいったの。
げた箱のラブレター (差出人は消えたきみ)
080805
title:メアリーは恋をした
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