こんなのは初めてだ。一人の女のことで頭がいっぱいで、どこまでも鈍感すぎるその女に頭を抱える毎日。そのことで上の空になることもしばしば。

あれ、俺はそんな性格だっけか。もっと男らしくてこんなに悩むことなんてなかったはず。そうじゃなかったらあいつらも俺についてこなかっただろうし、慕ってなんかくれなかっただろ。いやなんか自分でそんなこと言うのもあれだな、ちょっと自意識過剰かもしれない。あ、謙虚だ俺。おい、だからこんな性格じゃなかったんだって。あの女のせいで性格まで変わっちまったのかよ。冗談じゃねえ、あの女、すげー腹立つ、


「あ、政宗さま、おはようございます」

「お、おう」

「今日もいい天気ですねえ」

「そ、うだな、」


ああ、また、そのへらへらした笑顔に胸がどくんと鳴る。



笑い飛ばしてくれ
(恋に悩むこの男を)



080707