目覚まし時計のうるさい音で目が覚める。彼女も目を覚ましたかな、と振り向くと、そこには昨日一緒に寝たはずの彼女がいなかった。

先に学校へ行った?いや待て、それはありえない、今日は休日だ。何で休日に目覚まし時計が鳴るんだと今さっき思ってたじゃないか。じゃあもう家に帰ったのか。…僕より早く起きて何も言わずに?そもそも彼女は僕より寝起きが悪くて低血圧なんだ、何か特別なことがない限りこんな早起きはしない。今日は何も予定はなかったはずだし。

一体なんなんだ、とため息をついて目線を落とすと一枚の紙切れが落ちているのを見つけた。開いてみると、今までありがとう、とだけ書いてある。名前はないが、確かにこれは彼女の字だ。誰への伝言かもわからないし、たったこれだけの文章だけど、僕はその意味を理解してしまった。だって紙のふやけている部分がこれを書いた時の彼女の思いを全て表しているから。僕の目から落ちる涙で紙はさらにふやけていった。こんなに悲しい気持ちになるくらいなら、いっそ気づかずにずっと彼女の帰りを待っていた方が楽だったのに。

それから学校にいっても家にいっても彼女の姿を見ることは二度となかった。



からっぽ
(君のいない人生なんて、)



080706