完 結 で す 。

 「溶けたての愛をちょうだい」の連載が始まったのはちょうど1年前でした。
初めての長編で、ちゃんと話も作らずに書き進めてしまって、なんかもう読み返すのも恥ずかしいですが、たくさんの方に愛していただいたお話だと思っています。思い入れも強いです。1年分ですからね。重い。
 最後は詰め込んだ感が半端じゃないですが、あと、綾ちゃん何だったんだって感じですが、主人公視点の綾ちゃんとお別れの話はあとで書き足しますね、はい。

 メモにも書いたのですが、ここにも主人公くんと綾ちゃんの世界の解説的なものを。読み飛ばしてもらって構いません。ほとんどコピペですが。
 主人公と綾ちゃんが生きていた「世界」は、わたしたちが生きている「世界」とはまったくの別物です。「世界」はたくさん存在しているものだとわかっていて、物凄く技術が発達した別の「世界」です。落乱の「世界」もまた違う「世界」として並行して存在している、と考えていただけるとわかりやすいかと。パラレルワールド、というやつですね。だから落乱の「世界」がこのまま時代を進んでいっても、主人公の「世界」にはつながらないし、わたしたちの「世界」ともつながらないし、二次元の世界でもありません。落乱の「世界」もまた「世界」です。紙面上のキャラクターではなく、生きている人間です。
 主人公は、もともとは違う誰かで、システムの異常が原因で落乱の「世界」に飛ばされてきて、名前も身体も何もかも生まれ変わってしまった、ということです。
「設定」が消えて、嫌悪や好意といった人間的な感情を抱く彼らを見て、自分がシステムの中で生かされているわけではない、と気づいて、それでやっと主人公も人間らしく生きていけるようになる。という。
 綾ちゃんが来て、主人公からみんなが離れていったことで、ああ大切だったんだなあ、って気づいたんです。だから取り戻そうとしたし、元に戻そうと頑張ったんですね、主人公は。
 主人公はたぶんものすごく重たいものを抱えて、葛藤して、苦しみながら生きてきたけど、もうそれをちゃんと受け入れる覚悟を決めたんです。四年経って、やっと。


 まあ、そんなわけで長々とお付き合いいただきました「溶けたての愛をちょうだい」、これにて完結です。
 コメントをくださった皆さん、お話に最後まで付き合ってくださった皆さん、ありがとうございました。皆さんの存在が支えでした。本当にありがとうございました。
 また皆さんにお会いできることをお祈りします。




130214 仁科

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