フライパンの中で出来上がったオムレツを、焼いたベーコンと一緒に皿に盛りつけて、隙間に適当にトマトを並べる。今日はご飯を炊くの忘れてたから、朝ごはんはパンなんだけど、雷蔵ってパンになに塗って食べる人だっけ?んー、と唸ってから、まだベッドで眠っている雷蔵に「らいぞー、パン焼いていいー?バターはー?」と声をかけてみたけど、返事はない。さっき起こしたのに。部屋に戻ってみれば、雷蔵はまだ布団の中で丸まって眠っているらしい。ふう、と息を吐いて、無理やり布団を剥ぐ。色素の薄いふわふわの髪に隠れて顔がほとんど見えないけど、うー、と唸るだけで起き上がろうとはしないから、まだ寝ぼけているんだろう。「いつまで寝てるんですかー」と声をかけてみても、やっぱり返事はない。


「雷蔵さーん、ごはんですよー」
「んー…」
「はやく起きろばか」


 ぺしり、と雷蔵の頭を叩いて「先にご飯食べちゃうからねー」と声をかければ、雷蔵がもぞもぞと動いて、布団を抱き込んだ。だめだこりゃ。仕方なくひとりでキッチンに戻って、自分が食べるパンにバターを塗っていると、雷蔵がごそごそとやっと起き出した。ぼっさぼさの髪とよっれよれのスウェットのまま、ふらふらとキッチンまで歩いてくるのを、日曜日のお父さんみたい、としょっぱい気持ちになりながら眺めていると、雷蔵がわたしを見て、ふにゃあ、と笑った。あらかわいい。わたしの腰に腕を巻き付けて、背中にくっつく雷蔵の体温が心地よくて、わたしは自然と笑みをこぼしてしまう。


「名前ちゃんおはよー…」
「おはよ。顔洗ってきてー。あ、パンはバター塗る?そのまま焼く?」
「んー…、どっちがいいかな、うーん、」
「はやくー」
「むー、じゃあ名前ちゃんと一緒がいい」
「りょーかい」


 ぎゅうぎゅうと抱きついてくる雷蔵に「痛い痛い」と笑えば、雷蔵の手がわたしのほっぺを持ち上げて、少し後ろを振り向いたわたしの唇と雷蔵の唇がちゅ、とくっついてすぐに離れる。満足そうに笑った雷蔵はわたしから離れて洗面所に入っていった。ああもう、心臓に悪い。思わず緩む唇を指でなぞってから、わたしは慌ててパンにバターを塗る作業に戻る。パンを2枚、トースターにセットして、お皿と箸、インスタントで作ったスープをテーブルに並べていると、雷蔵がタオルで顔を拭きながら部屋に戻ってきた。「ありがとう」と言って、わたしの額にキスをする雷蔵にジャムとケチャップを押し付ける。焼き上がったトーストがテーブルに揃って、それぞれの椅子に座り、一緒に手を合わせた。


「いただきます」


 今日はなにをしようか。







■女主で雷蔵と恋人設定のほのぼの、または甘い夢。転生設定なしの現代/熊猫さま
 201310910





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