10000打御礼! | ナノ


 ハッピー・ニューデイズ



「名前ー、このあと暇?」
「あー、金吾と服見に行こうかって話し、」
「つまり、暇だよな!おれたちとカラオケ行こうぜ!」
「え、やだよ。おれが音痴なの知ってるだろ。嫌がらせかよ」
「別に関係ないじゃん!な、虎若!」
「確かにな。名前、金吾も誘っていいから、カラオケ行こうぜ」
「えー、2人で行ってくればいいじゃん。音痴を笑われるなんてごめんだ」
「名前がいなきゃつまんないんだろー!」


 騒がしい授業終わりの教室で一際騒がしい団蔵の叫び声に、帰りの準備をしていた人たちが一斉に振り向く。困ったような、それでいて迷惑そうな顔をしている名前は、駄々をこねる団蔵を無視して、自分の荷物を黙々と片づけ始めた。名前ったら、マイペースね。名前の後ろに座っていた私も名前に倣って荷物を片づけ始める。団蔵はいまだに名前を誘い続けている。いつもこうやってめんどくさがられていることに、団蔵はそろそろ気づくべきだと思う。


「じゃあさじゃあさ!金吾との買い物におれたちもついてっていい?」
「やだ。団蔵うるさいし。てか、お前ら、今日部活ないんだったらジャージ着るなよ」
「だって楽じゃん。な、団蔵」
「な、虎若」
「だめだこいつら。らんたろー、どうにかしてくれよー」
「え、私?」
「おれ、乱太郎がこいつらと友達なのが不思議だ…」


 はあ、とため息をつく名前の肩に腕を回し、「だめ?ねえねえ、だめ?」としつこく繰り返している団蔵は、さすがにうざい。虎若も止めればいいのに、喜三太たちと話していて、この状況に気付いていない。私は名前の視線に耐えきれなくて、仕方なく団蔵に向き合えば、団蔵は邪魔するなみたいな目で見てくる。だから巻き込まれたくなかったのに…!


「き、金吾に聞いてみればいいんじゃないかなあ」
「ああ、確かに。てか約束の時間、何時だっけ?」
「金吾に電話するんなおれにも代わって!」
「やだ。お前、金吾の意見聞いてやんないじゃん。可哀想だからだめ」
「……名前は金吾にだけ優しいのなー」
「お前らが金吾に優しくないから、その分おれが優しくしてんの。世の中何事もバランスが大切」
「ずるっ!名前、おれにも優しくしてよ!」
「団蔵は少し自重することを覚えればいいと思うよ…」


 こうも団蔵が名前に執着することの意味を名前は知らない。呆れながらも無理に止めない私たちの思うことを知らない。団蔵が知られることを望んでいないから言わないだけで、本当はみんな心の中で、団蔵の中でひそかに芽生えた感情を応援している。名前だけが、知らないこと。
 名前が金吾に電話をかけ始めたことをいいことに、団蔵は思う存分名前に甘えている。至極幸せそうな団蔵の姿を見ていれば、飼い犬と飼い主に見えなくもないけど、団蔵がそれでいいというなら、私たちは何も言わない。それがしあわせであるなら。


「もー、お前ら、金吾の優しさに感謝しろよ、全力で感謝しろよ?」
「するする!じゃあさっそく行こうぜっ!虎若!」
「お、今回も粘り勝ちだな、団蔵」
「おう!」
「…もうお前らと遊ぶのやめたい」
「とかなんとかいって、最後は必ず付き合ってくれる名前が好きだ!」
「はいはい、ありがとう」


 彼らが幸せそうに笑っていることが、私たちのしあわせにつながっているなら。









120925

グミさまへ!
10000hit企画に参加していただきありがとうございました^^*
大変長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。
押せ押せ団蔵くんに不覚にもときめいたのはわたしです、爆
少しでもお気に召していただければ幸いです。
素敵なリクエスト、ありがとうございました!




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