願い事を聞いてあげるだけ

 キミの願い事は何だい?

  お金持ちになりたい?美人さんになりたい?出世したい?有名になりたい?
 あはははは、醜いね、醜いよ、人間って。
 いっつも自分のことばーっかり考えてる。利己的で、ずる賢くって。


 「私は、貴方を穢したい」
 「イザークってば、人間の見本みたいだよね」

 僕は、馬鹿にしたようにイザークを嗤ってやった。
 イザークは、お礼と共にお辞儀をする。褒めてないっつーの。
 考えてみれば、僕にとってイザークが一番身近な汚い人間。利己的で、ずる賢くって、おまけに僕を穢したいんだって。(身の程知らずにも限度というものがあるのを知ってるの?)
 感情の機微があまりにも無さ過ぎるイザーク、ねえ、今何を考えてるか当ててあげようか。
 僕を穢すための算段を、君の強大な頭脳でもって考えているんでしょう。まあ、いくら君が頭良いからって、僕に敵う筈はないけれど。だから、精神の自由に法って、考えることは許してあげよう。

 「我が君、どうしたら私に穢れて下さいますか」
 「そうだなあ、世界を更新出来たら考えてあげてもいいよ」

 はっ、穢れてとか言うくせに、いつも自分が穢されているよね。掘られている最中も、逆のことを考えているのだろうか。悪趣味だね。
 イザークはドMなんだから、僕に黙って掘られてればいいんだ。
 まあ、抵抗もしないで大人しく抱かれてるイザークなんて気味が悪いけど。

 「私の願い事は叶いそうで安心しました。絶対、更新して下さるのでしょう?」

 嬉しそうにうっすらと笑うイザークを見て、僕は毎回虐めたくなる。そして、今日もイザークの希望を柔らかく打ち砕く。
 きっと、僕だけがイザークの感情の機微を全て見抜いている。本人よりも。


 (イザーク、今日はやけにお馬鹿だなあ。僕は考えるだーけ)
 (…意地悪いですよ、我が君)

 End

 執筆:100909


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