きづいてないふり上手だね/はじめての恋でした
お題【うそつきの恋-君ver】うち2題

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男と男のセックスにはなんの生産もない。長生種と短生種では生きる時間が違う。なんて無意味な関係なのだろう。けれど、吸血行為で生きる時間を共に出来る可能性がある。

「こんなに痕が残ってしまったよ、傀儡の王」
「………」
「どっかの作り話のように、舐めただけで噛み跡が消えればいいのにね」

背後から視線を感じた。名残惜しそうに僕の首を見ているのだろう。僕にとって、その視線が極上の快感である。プライドの高い高い君の目が口ほどに物を言っている。僕が欲しくて欲しくて仕方がないのだろう。面倒くさい性格のくせに分かりやすいこの男が、とても可愛く思える。
挑発するように、僕は今日も明日も明後日も首を曝しながら君の前に現れる。

「オタクは」

乾いた声が僕を呼んだ。鏡越しに見た君は、いつも通り暗いけれど熱と恨みの篭った瞳をしていた。

「きづいていないふり上手だね」

言い終える頃には、僕は白いシーツの上に縫い付けられていた。
そして、君は僕に新しい噛み跡を残す。ろくに血を吸いもしないで、ひたすら長い牙でもって皮膚に穴を空けていく。
思わず声をあげて嗤ってやりたくなった。ああ、なんて滑稽なのだろう!僕よりも何年も生きている君が僕に執着をしているなどと!

「君に、避妊具のように銀でも注入しないとね。君の仲間になるのはごめんだよ」

「ほんと、短生種は狡賢い、腹が立つ。首から唇を離し恍惚とした血の気のないオタクの顔を見るたび思うよ。避妊具をつけないでセックスをして妊娠する短生種たちと同じぐらいの割合で、首から血を直接吸うことで短生種が長生種になってしまえばいいのに、と」

血が滲む首をザラザラとした舌で舐め上げられると、下腹から背中にかけてゾクゾクとしたものが這い上がる。
体が反転し、獣の交尾のような体勢にさせられる。尻、背中、うなじ、といたる所に穴が空く。さっき血を吸われたばかりなのに。どんどん血が流れ出ていく。血が足らないと言ったら、嬉々として自身の血を注入してきそうな気がして、それだけは絶対に口に出したくないなあと思いながら、羽織っただけのシャツを大人しく剥ぎ取られてやる。

「責任はとってあげる」

「あは…悍ましいったらありゃしない」


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