※ギャグです。いろいろと崩壊してます。
なんでも許せる方のみどうぞ。
「メルちゃん、メルちゃん!!!」
「うっさい、黙っててよ」
メルキオールはふてぶてしいし、こっちをちっとも見てくれない。
僕よりも、お人形なんかの方が大事だって言うんだね。
まあ、みんなメルディトに少女漫画のような甘さなんて求めてないだろうから良いんだけど。
話は変わるけど、ご存知の通り僕は悪戯好き。
メルちゃんの慌てふためき驚く表情がとっても見たいんだ。
今は、僕が隣にいるのに澄ました顔でお人形遊びに夢中なメルちゃんも、僕に釘付けになるだろう。
「子供出来ちゃった」
ゴンッ、という鈍い音がした。
メルキオールはジークリンデの首を床に落としたようだ。僕から背けられた顔は、さぞ驚愕に彩られているんだろう。
「オッ、オタ…え、長生種と短生種、なん…」
「メルちゃんゴムしてくれないから〜」
あー、ウケる。
表情が豊かでないメルちゃんは、顔面蒼白になったり朱くなったり。
無惨に床に転がったジークリンデの首は拾うことも忘れられている。
こんなメルちゃん初めてみる。指まで震えているんだよ?目を泳がせて僕を見ようとしない。
少し経ってから、メルキオールに僕は止めを刺す。
「責任とってよね」
どこかの昼ドラの女の台詞。
メルキオールは大いに身体をびくつかせてくれた。
しかし、メルキオールの目がカレンダーへ向かった。そして、陰険な(?)光を宿した瞳が僕を捉える。
あっさりばれた。まあ、楽しませてくれたから良しとしよう。
「…いつ」
「え」
「妊娠したって判明したの」
「………ブッ」
ああああああ!メルちゃん馬鹿だ!!!全然気付いてないよ!!!
「笑いごとじゃないよ、オタク!」
「だ・だって、メルちゃ…あー無理もう限かっ…」
僕は腹を抱えて笑い出す。笑いが止まらない。
最っっ高だよ、メルちゃん。ドッキリにこんなにも簡単に引っ掛かるなんて。
「長生種と短生種で子が出来るのか…」
「待っ…メルちゃん、気付こ、まず、僕ら男…」
「オタク、見苦しい。そんなに笑うとお腹の子に悪いよ?」
笑いが込み上げてきて、訂正のしようがない。
しかも、メルちゃんは本気だ。
本気で悩んでる。その証拠に僕の話一切聞いてない。
カレンダー見たのに気付かないなんて!多分、この場面を読んでる皆さんは気付いてるよ。
「今日は、エイプリル・フール…」
「……………死ね」
メルちゃんは一回動きを停止させ、口を抑え、真っ赤になって僕を睨む。
ヤバイ、超可愛いよ、メルキオール。
メルちゃんは、そっぽを向いてまたお人形をいじくりだした。
(子供欲しかった?)
(オタク、もう黙っててよ…)
End
これを書いたのは四月一日。ニュースを見て、エイプリル・フールを思い出したという。
次はオマケ↓↓↓
《おまけ》
「ディートリッヒ…」
「何だよ、イザーク」
「子供を身篭ったそうじゃないか」
「ぶはっ」
僕は思い切り紅茶を噴き出してしまった。せっかくの紅茶が台なしじゃないか。
それより、なんでそんなことを知っているのか。エイプリル・フールにメルちゃんに吐いた嘘を。
「…影から覗いたでしょ」
「赤飯を炊かなければならんな…」
「ちょ、待って。嘘だから、それ、嘘。知ってるよね」
「知っているからこそ、だ」
「サイッテー」
魔術師は細煙草をくわえて鼻で笑う。
そして、そうそう、と言葉を付け加えた。
「我が君とオルデンの皆様方にはもう話を通してある。安心したまえ」
「!!!?」
「百貌の王が大層喜んでいたなあ…」
「巫山戯んな!」
「巫山戯てなどないさ…私は常に真面目さ」
「…真面目に遊ぶ・って、僕よりずっとタチが悪いよね」
そうして、オルデンにディートリッヒがメルキオールの子供を身篭ったという嘘が広まり、カスパールによる盛大な赤飯の炊き出しが行われたとかなかったとか。
終わる
執筆:100401