女子は羨ましい。
素直に好きと言っても、ほとんど引かれることはない。
それが自然であり、当たり前だ。
寧ろ男が男を好きになる方がおかしいし、普通あり得ない。
「風丸ー!部活行こうぜ!」
何時も教室に堂々と乗り込んでくるオレンジの彼。
円堂 守。
ぶっちゃければ俺は円堂が好きだ。一般的に言われている例外とかは俺やヒロトの事を指す。
しかもかなりの重症だ。
「先に行っててくれ、すぐ行くから」
あーもう、やめた。自己嫌悪してても話にならない。
鞄に荷物詰めながらそんなことを考えている。
今の関係を壊す方が怖いし、そもそも同性に恋するとか普通あり得ないだろ。
円堂だって、気持ち悪がるに決まってる。
「男同士か…」
何で俺は男に生まれてきたんだろう?
仮にも女だったらホントに円堂と一緒にいられたかな?
「風丸ー?」
気付いたら真正面に円堂の顔。
「え!?円堂!?」
「どうしたんだ?待ってるって言ったの聞こえなかったのか?」
無意識なんだろうけど、顔が近い…。
「風丸ー?おーい?」
ヤバい緊張してきた…
ドクン、ドクン、ドクン、ドクンと脈打つ心臓がうるさい。
「あ…円堂…。」
「どうしたんだよ?」
「あ…あのさ…。」
どうしよう、言いたい。
言ってしまいたい。
「俺…!」
椅子から勢いよく立ち上がる。
円堂はビックリした顔してるけど、俺は絶対に真っ赤になってるだろう。
「どうしたんだ?顔真っ赤だぞ!?」
「…んぁ!もう!」
机1つ分の距離がもどかしくて、邪魔で蹴飛ばしてしまった。
「のわぁ!おい!風丸!」
蹴飛ばした机を尻目に円堂の方へ倒れ込んだ。
「焦らすなよ…バカ…。」
「は?どうしたんだ?」
「焦らすなよ…!変な期待かけられて毎日毎日、胸が一杯になるんだよ…!焦らして楽しいのかよ、このサディスト!!」
何言ってるのか自分でもわからなくなってきた。
「落ち着けって!風丸…!」
「円堂のヘタレ!」
「ヘタレじゃない!」
「好き…!」
あーあ…言っちゃったよ
「円堂が好き、小さいときからずっとずっと、大好きなんだよ…」
止まらない言葉の連鎖反応、
「男同士って分かっててもでも、ホントに好き、大好きなんだ。」
引かれる…。
絶対に引かれる。
男が男に告白してるんだし、引かない方がおかしい。
すごい近くにいてただの憧れで、眩しくてスゴい遠い存在だってこと。
「何いってんだよ…!」
ぐいっと持ち前のゴールキーパーの腕の力には到底敵わない力で強引に引っ張られたと思ったら口に生暖かい感触。
最初は触れるだけで驚いて真っ赤になっていたのが、ちょっと油断した隙に深くなっていった。
何だろう?他人の体温って気持ち良いかも…。
って何を考えているんだよ…
息苦しい…息ができない辛さのあまり円堂を突き飛ばしてしまった。
「痛って、」
「何すんだよ…!」
「風丸が俺のこと好きだって言っただろ?俺も風丸が好きだから!」
時が止まった。
円堂は今なんて言った?
「何呆けてんだよ!」
円堂の一言で現実に引き戻された。
「嘘だろ!!」
「嘘でキスするかよ!」
「じゃあ何でだよ…!」
「だって俺達男同士じゃん、俺が風丸に好きだって言って引かれて、ただの幼馴染みに戻るのって嫌だったからさ…」
それってつまり…?
「風丸、俺と…恋人として付き合ってください。」
バカかよ俺達。
何時もみたいに喧嘩して謝れないのを相手のせいにして。
今回のことも同じ気持ちのまま隠し事してるとか…。
「いいよ。円堂、大好き。」
恋人未満、親友以上
(幼なじみ同士の恋)
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風水桜の緋星さんからフリリクで頂きました!(^O^)
告白話をリクエストしたのですがもう二人とも可愛くて可愛くて…!
個人的に机を蹴飛ばす風丸さんがツボです^^
緋星さんありがとうございました〜!(*^o^*)
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