※いろいろおかしい話なので
何があっても大丈夫な方はどうぞ
最近、毎晩同じような夢ばかり見る。
一人の少年が、ずっとオレに話しかけてくる夢だ。
その少年が誰なのか、オレはそれを知っているはずなのに、目が覚めるともうすっかり思い出せなくなっている。
そんな夢が続いて、今日でもう十日目だった。
「最近ずっと変な夢を見るんだよ」
部活終わりの帰り道、風丸になんとなくそう言えば、風丸はキョトンとした顔をした。
「どんなのだよ」
「一人の男の子が、ずっとオレに話しかけてくる夢」
「男の子って?」
「知ってる人のはずなんだけど、起きると思い出せないんだ」
そう言うと、風丸は眉をしかめた。
「何だよそれ、怖いな」
「…だからさ、風丸。今日、一緒に寝てくれないか?」
両手を合わせて、お願いするように風丸に頭を下げると、風丸は小さくため息をついた。
「…いいけど。でも、夢を見なくなるとは限らないぞ」
「いーよ、風丸が隣で寝てるだけでも安心できるからさ!」
へへ、と照れくさくなって笑うと、風丸はわずかに顔を赤らめた。
そんな顔が可愛くて、オレは風丸の手を握った。
「おい円堂、ここ外だぞ…!」
そんな風丸の焦る声も今は笑って聞こえなかったことにして、風丸と手を繋いだまま家までの道を歩いた。
家に着き、夕飯も風呂も済ませ、後はもう寝るだけとなった。
風丸はオレの部屋に起きっぱなしの自分のTシャツを着て、さっさと床に布団を引き始めた。
「え、風丸床で寝るつもりなのか?」
「…そのつもりだけど、何だよ」
オレの質問に、風丸は不思議そうな顔をする。
オレは腰掛けている自分のベッドの布団をぽすぽすと叩いた。
「一緒のベッドで寝ればいいだろ?いつもそうなんだし…」
そう言うと、風丸は急に顔を赤くして言い淀む。
「いや、でも…、」
「何今さら恥ずかしがってんだよ!」
そうして風丸の腕を引っ張ると、観念したようにすとんとベッドのオレの隣に座った。
「今日は円堂が怖い夢を見ないようにするために来たのに……、一緒に寝たら変な気分になりそうなんだよ」
そっぽを向いて風丸はぶつぶつ呟く。
…え、それって、つまり。
そういうことしたくなっちゃう、ってこと?
顔を赤くしてそんな可愛いことを言う風丸に、オレは我慢出来ずに口付けた。
「…なぁ風丸、じゃあちょっとだけ……」
耳元でそっと囁くと、風丸はこくりと小さく頷いた。
最中に、円堂、と何度もオレの名前を呼んだ形の良い唇は、今はうっすらとだけ開いて、すうすう寝息をたてている。
結局、ちょっとだけと言ったくせにお互い盛り上がってしまい、二人してぐったり疲れてしまった。
風丸は少し前に眠りにつき、オレはその寝顔を見ながら幸せな気分に浸っていた。
これなら、今日はあの夢を見ないかもしれない。
そんな気持ちで、オレもいつの間にか深い眠りに引き込まれていった。
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