03

♀1D+♀3D+子N R18
グロ、擬人化表現あり




息を吹き返した初代は、咽ながらも身体を起き上がらせる。身に纏っていた筈の衣服がなく、全裸の状態でいる事に気付いた彼女は、忽ち顔を紅潮させ胸と秘部を手で隠した。

「…うっ…!」

激しい頭痛が起こり、初代は頭を抑える。それまでの記憶がフラッシュバックし、彼女はようやく自分が何故此処にいるのかを思い出した。


(そうだ、あたしは一度…)

――若を守ろうとした所を、あのファントムという悪魔に喰われた筈だ。記憶に誤りがなければだが。だが生きている。

意味を理解した初代は、鼻でくつくつと笑う。

「あれだけ噛み砕かれても、死ななかったのかよ…あたし…」

己が不死身である事は既に知っていたが、まさか此処までとは。四姉妹の中でこの真実を知らないのは唯一、若だけだった。若はまだ非力である為、自分を含める姉達のように銃や剣を扱う事は出来ないのだ。

「若…、何処に」

初代は顔を上げ、周辺を見渡す。どうやら鉄格子に囲まれた部屋にいるらしい。正確には閉じ込められているのだ。

ぴちゃりと足音が聞こえ、彼女の表情は緊迫に満ちる。



「――目は覚めたか?裏切者(スパーダ)の娘」

姿を現したのは人間では有り得ない、薄緑の髪を腰まで伸ばした若い男だった。酷く端正でありながら無感情な顔をしたその男は、鉄格子の前に立ち初代を見下ろした。

身に纏う空気は明らかに人間のものとは思えぬものだった。四姉妹の中で最も気の強い性質である初代は、臆する事無く男を睨む。

「ハ…、悪魔が一丁前に人間の真似事か?」
「人間は低俗な生物だからな、この程度どうという事は無い」

「奴と同じ様に貴様を甚振りに来た訳ではなく、話があって来た。最低限の礼儀として、この姿で来てやったまで」

奴とはおそらくファントムを指しているのだろう。悪魔である男はつまらなさそうに答える。

「魔帝がな――貴様らの謁見をお許しになられた」
「…何…?」

「時が来たら呼びに訪れる。それまでの間、貴様らは悪魔達の慰み者だ」
「ッ、ふざけるな!こんな事に何の意味がある!!」
「"スパーダの血縁"であるからこそだ。恨むなら奴を恨むが良い。」

男の言葉に初代は瞠目する。だが、すぐに歯を食い縛った。

「待て!!」
「………何だ」
「若を…、何処に連れて行った?」



さも当然の様な口調で男はこう言った。

「あの非力な娘か……、さあな。今頃ファントムの玩具になっているかも知れん」




 * * *




その頃、若はファントムの作った結界の中に監禁されていた。両足は先程引き裂かれ、皮一枚で繋がっている状態で彼女は地面に這い蹲っている。

「う …う …、ごめんなさ い、ご めん、な さ」

痛みに慣れていない若は顔面蒼白で、息も絶え絶えにファントムに許しを乞うていた。それを哀れに思う事もなく、ファントムは愉快気に節足の一つを動かす。

『さて、次は何処を弄ってやろうか。脳を弄るか、ハラワタを裂くか、それとも…』

悍ましい発想を口にする悪魔の姿に恐れ慄いた若は、結界の壁に向かって這い始める。いずれにしろ逃げられないのは明らかだが、それでも彼女は足掻きを止めなかった。



「いや、い、や…誰か…誰か…」

ぼやける視界の中、小さな子供らしき足が立っているのを若は見る。誰も侵入できない筈の結界の中に、小さな少年が立っていた。少年は大きな目を瞬かせて若を見ている。

若は少年の顔を見て、ある面影と重ねた。



昔いた筈の、自分の双子の兄の姿と。



「バージル…バージル、助けて…」

少年の体にしがみ付き、何度も兄の名を呼んだ。少年は首を傾げている。少年の頬に彼女の手が触れようとした瞬間。


背後に迫っていたファントムの節足が若の首を跳ね飛ばした。




『…これはご子息』

ファントムは少年から若を引き剥がす。怯えた目で見る少年に配慮したのか、彼は人間態の姿へと形を変えた。

「ここは危険ですから、魔帝の元へお戻りになって下さい」
「このひと、だあれ…?」
「反逆者の血縁です。本来ならば処刑される筈でしたがね」

地面に転がる彼女の目と、少年の目が合う。少年の手は異形のもので、同じく悪魔の血が流れている事を意味していた。








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