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R18/グロが苦手な方は注意。



おれが目を覚ました時、自分の体が縄で縛られている事に気付いた。真っ赤なぬかるみが腰まで侵し、気持ちが悪かった。隣を見ると、同様に縛られた初代が俺を庇う様に寄り添っていた。

「……しょ、だい…?」

初代は殺気を帯びた目つきで前を見つめている。気配を察知したおれもまた、同じ方向へ目を向けた。

憎き悪魔の気配だ。




『――ちょろちょろ逃げ回りやがって、クソアマ共』

現れたのは、巨大な蜘蛛の姿をした悪魔。外殻の隙間からはマグマらしき赤い光が見える。あまりの悍ましさにガタガタと震えるおれを、初代が背で隠した。

『よう、何時ぞやの阿婆擦れ。俺が生きていて驚いたか?』

それは初代に向けられた言葉だった。

『魔帝によって肉体を取り戻したのさ。お蔭様で、良い気分だぜ』

スパーダの血が流れていようと丸腰の状態であるおれ達には、目の前にいる悪魔に対抗する術などありはしなかった。初代が好んで使っていたエボニーとアイボリーも取られてしまっている。




突如、悪魔は初代の所まで間合いを詰めると、蠍の様な尾を使い初代を縛り上げる。

「ぅう…ッ!?」

上空に持ち上げられ、まるで晒し者の様に宙吊りになっている初代。このままでは殺されると思ったおれは必死に希った。

「やめて!殺さないで!!初代を離して!!おれが代わりになるから!!」

おれの叫びを耳にした悪魔は動きを止め、持ち上げていた尾をゆっくりと降下させる。

解放してくれると、そう思ったのもつかの間だった。


悪魔は大きな口を開けると、初代の頭に噛り付く。ばきり、ばきり、むしゃむしゃ。骨が砕ける音がして、おれは茫然としたまま動けなかった。下半身の力が抜け、失禁した事にも気付かないまま、初代の体が悪魔に貪られていく様をただ見つめることしか出来なかった。

咀嚼し終えた悪魔は、唾液を垂れ流しながら俺を見た。次は自分であるという事は明白だった。



ところが悪魔は、頭を震わせながら呻き声を上げる。悪魔は数拍置き、目の前で吐瀉物をぶちまけた。肉塊がべちゃりとぬかるみの中に沈んでいく。まだ消化しきれていないそれは、僅かに骨が覗く程度だった。

初代の変わり果てた姿に、俺は胃の中のものを戻した。涙すら、もう出ない。


『畜生。半魔の肉なんぞ……食えたもんじゃねえ』

自ら食らって置きながら、悪魔は悪態をつく。

それから鈍い音がした。眼下を見ると、悪魔の尾が自分の腹を貫いている。悲鳴を上げる間もなく刺されたまま、おれは地面に叩きつけられた。頭がドブに浸かり、呼吸ができない。じたばたと暴れたが、屈強な節足に踏みつけられびくともしない。どうやら、悪魔はおれが溺れ死ぬまで見届けるつもりらしい。



おれが不死身の体であると分かるのは、次に目を覚ました時だ。おれは後悔するだろう。生を渇望せず、そのまま死を望めば楽になれたかも知れないと。





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