・先乃アイム行方不明
・架耶トシノ行方不明
・先乃エル死亡
・神崎カノン死亡
・三沢タイガ死亡
・戸之山ミユキ死亡
・涼城レント死亡
・ステラ死亡
・カリン死亡
・レレナ死亡


謎は解かれたが生き残った者はいなくなった。
死者よりの死の鐘の音を聞き、時計塔に閉じ込められたか定か………。最後にみた光は希望であるか否か。
以下、指示に従い次のゲームに準備せよ。

又、解かれていない謎を解き、全てを終わらせよ。


コレハタダノゲームじゃナイ。一体ドウユウコトダ?
殺しアイ、生キ残ルタメに選ばれし7人ヲ、集メタンジャナイノカ?
ナゼ先導ノ日記帳ガアル?日記帳ハ一つジャナイノカ!?アノ女ハ一体ナニヲ考えてイルンダ!!!






















「一体どうゆうことだよ!?」

バンッとカムイはテーブルを叩いた。苛立ちが隠せておらず思わず物にあたるかのような素振りだ。ただそれは七人全員同じことで―――。

「いくら俺らの駒だからと言っても、Episode1の時みたいに自分で動かせないのか…」
「にしても、酷い殺し方してくれるじゃないの」

悩む三和の隣で、ミサキは先程の殺され方の様子に少々苛立つ。窓一つないこの部屋には自然の灯はなく人工の光で堅苦しく感じる。

「さて、今から貴方方七人から質問を受けましょう。しかしこのゲームには関係のない、間違えた質問をすれば答ませんが」
「質問ぅ?てか、間違えた、って何だよ」
「そういえば、僕達三人が行方不明って……殺された訳じゃないの?」

アイチは口を開く。疑問は数え切れないほどあった。しかし何から言えばいいのか、聞けばいいのかわからない。
そして、またゲームに負けた自分達はこれからどうするのか――――。一体いつまで続くのだろう、この惨劇は……。

「質問などするまでもない。単刀直入に言う」

今まで黙っていた櫂が途端に口を開き、辺りを静寂へと変えた。静まり返った部屋で皆の目は櫂に向けられる。何かしら櫂に掛けようとした言葉は飲み込まれてしまった。それは櫂の威圧を感じとってしまったから。

「あら、何かしら?」
「………いい加減にしたらどうだ。そろそろ本当のことを言え。偽りではなく、真実を言え!!お前は嘘を付きすぎている!!!」

櫂が立ち上がり、これまでにない位の勢いで机を叩くとビリビリと振動した。櫂は苛立ち、怒っていた。
誰一人として声は出なかった。恐怖さえ櫂は自在に操るかのように翡翠の瞳を鋭くする。
たちまち今までにこやかに笑っていたスイコは仮面が外れたかのように静かに目を伏せ、一点だけを見つめる表情に打って変わってしまった。

「………嘘、とは?」
「一つ、お前達は何年も前からこの島にいてこの館にいること。
二つ、俺達を呼んだのはお前ら使用人だと言うこと。
三つ、お前は先導の日記帳を所持しているということ。
四つ、俺達に本当に解いて欲しい問題をいつまでも隠しているということ。
五つ、………これは…ただの語り継がれる物語であり、悪夢の逸話でしかすぎないということ。」

淡々と話す口調にはいろんな感情が入り混じっていた。
怒り、憎しみ、悲しみ、愁い。そして櫂のあげた五つの言葉は辺りを騒然とさせた。何を言っているのかわからないとばかりに櫂を見る。ただ真っ直ぐにスイコを見る翡翠に思わずため息をついた。コーリンはただ俯き、レッカは苦笑いをする。

「本当……厄介ね。私が言いたいこと…私達の罪まで言うなんて。でもどうして、櫂トシキ、あなたは“先導の日記”を知っているの?」
「俺には祖父さんに托された手紙がある。ああ、一つ語弊だ。俺は自分の意思でここまで来た」
「勇敢ね、本当……そっくり…」
「…?」

スイコがまだ何かを言おうとし、コーリンは止めようとしたが「良いの」と呟くと手に二つの日記帳を出した。

「それ…!!」
「この二つの日記帳の真実は次のゲームで知ることになるわ。そうそう、質問に答えなくちゃね。
一つ、、私達は何年も前から此処にいる。
二つ、貴方達を呼んだのは紛れも無い私達だと言うこと。
三つ、先導の日記帳は二つあり全て持っているわ。
四つ、本当に解いて欲しいのは隠された真実ととある逸話の物語。
五つ、そう。これは全て受け継がれ、ただの逸話でしかないということ」

櫂はその言葉がわかっているのか否か……ただ表情一つ変えずにいた。何も…そう、何もわからないはずなのにアイチは息が上手く出来ず不整脈になる。頭が痛い。痛いのだ。

「エミちゃん、エミちゃん!どうしたの…?大丈夫?」

途端にミサキの声が響く。視線は次にエミに向けられ辺りはどよめき始めた。
エミはただ何も言わず下を向いたままなのだ。一体何があったのだろうかとミサキはエミを宥める。

「エミさん大丈夫ですか!?」
「カムイ、落ち着いて…」
「だってエミさんが…!」
「エ、エミどうしたの?何があった」
「いやぁあぁ!!!」

アイチがそう言ってエミに触れようとした途端、乾いた音でアイチの手は弾かれてしまった。エミの表情は恐怖に歪み真っ青だった。

「あ…ち、違う、の……アイチ、違うの…ちが………ごめんな、さい…」

恐々としながら、弾いてしまった手を震わせながら握りしめた。ミサキは席を立つと、この部屋からとりあえずエミを離れさせ、落ち着かせようとスイコに言うとレッカが案内すると部屋から出た。

「アイチ、大丈夫か、」
「三和く…ん…。うん………大丈夫…」

ガタンと席に座ると場の空気はあまりいいとは言えなかった。
全てが狂ってしまった。
全てがおかしくなってしまった。
此処に来てから何もかもおかしくなってしまった。
一体何故こうなってしまったのか。
何故自分達は呼ばれたのか。

曖昧で矛盾で理解不能なこの世界。果してこれは夢なのか現実なのか。もしかしら自分達はもう死んでいて自分だけおかしな世界にいて………一人ぼっちなんじゃないか。自分には妹も家族も友人も架耶すら存在せず、これは深い深い夢なんじゃないか。
そんなのは嫌だ、一人ぼっちは嫌だ、怖い、恐い、

「アイチ、約束しただろう。俺が守ると」
「…! か、いくん……?」
「俺はいる。存在している。真実はすぐだ。辿り着ける……帰るぞ」

ぽふんと頭に手を置かれその厚みを感じる。それは確かに存在を感じる重み。胸の中がスッキリとし、アイチは櫂に笑いかけた。

「次のゲームが最後になり、そして長いゲームになると思うわ。そしてこのゲームで全てわかる。貴方達を呼んだ理由が。最も解いて欲しい謎が。隠された想い、真実、そしてこれを創りあげた人物の願いが。そのために貴方達は殺しあい、生き残りなさい。謎をといて、真実に辿りつきなさい」

スイコの凍てつくような瞳にあったのは悲しみだった。
彼女達は一体何の目的で何がしたいのかわからないが、ただそれはきっと僕達にしか解けない何かがあった。僕達が解かなければならないのかもしれない。
例え辿り着いた真実が如何に残酷だったとしても受け止めて想いを感じとらなければならない。
そして何より……自分の祖父が残した日記帳に書かれた真実が知りたかった。知らなければならない、そう告げているかのようで。

「僕は……生き残ります。そして辿り着きます必ず。この島と館の謎をときこの悪夢から抜け出します」
「ええ……きっと貴方なら真実に辿り着けるわ。私達では辿り着くことが出来ない物語の終わりに。Episode1もEpisode2の真実も同時に解くのよ。そして終盤を迎えて。……これは逸話なのだから…」

そう言って日記帳を持ち去ると部屋から出て行ってしまった。コーリンもあとに続いたが、立ち止まりアイチの前に歩いてきた。そして真っ直ぐにアイチを見て、肩を掴むと、

「いい、何があっても目を逸らさないで。貴方が目を逸らすと真実には辿り着けず、Episode1とEpisode2のように訳もわからない終わりを描いてしまう。貴方が向き合えば必ず最後まで物語は続く………貴方が私達の希望なの……だから…お願い…」

そう一言言うと部屋から出た。
もうすぐ次のゲームが始まる。最後のゲームが。もう僕は目を逸らさない。前だけを見て、向き合う。僕は誰も疑いたくなかった、この7人の中に自分達を殺す犯人がいるとは信じたくなかった。だから物語を途中で終わらせてしまおうと目を閉じた。
だけどもうそんな事はしない。僕がちゃんと向き合えば物語は最後まで描かれて終盤を迎える。
それは……長い長いお話で終わりのなく世界から見放された物語の行き先。
70年も前に櫂くんのお祖父さんと僕のお祖父さんが出会い一年の物語を何故途中で終わり、何故この島に来てたのか。

「三和くん、カムイくん、レンさん、櫂くん……終盤を迎えよう。Episode1もEpisode2繋がっている物語……」

もう覚悟は出来ていた。
何処かでわかっていたのかもしれない。だからこそ……。


「Now the way including the game.―――さぁ、ゲームを始めようか」


そうしてゆっくりと瞼を閉じた。駒がまた起き上がる。それは意思で。
生き残るためには殺して殺さなければならない。意味を持った言葉には必ず真実がある。
そう、悪夢の逸話は終盤を迎えるのだ。






















「スイコ、もうあの子達には何を隠しても無駄よ」
「わかってるわ。もう何も隠さない。だってこの物語を創り、願ったのは、70年前の先導と現在の先導アイチであるのだから。……だからこそ、受け継いだ現在(いま)の先導アイチは解かなければならないの。もうあの子は目を逸らしてはいけない

歎きながらスイコは零す。
全ては先導アイチに托されて先導アイチが終わりを書かなければならない物語だったのだ。



戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -