一体何処から始まったのだろう。そして一体僕達は何処からこの物語が最初で真実で嘘で偽物で……
逸話だと気付いたのだろう。

櫂くんの祖父が残した70年前の手紙。
僕の祖父か祖母かどちらかはわからないが未来の“先導”に残した日記帳。
それはどちらも存在して意味を持っているのだろうか。そして本当に僕達は存在を―――。

違う。
それは違うのだ。間違っている。僕達は確かに存在する。そして確かに選ばれし7人として此処にいる。そして3人の使用人。他には誰もいない。いるはずが無いのだ。どうしてかは分からない。だが、いるはずがないのだ。
確かで真実で嘘偽りがないと断言できるのはあの日だけだ。乗った船が難破し、櫂くんに出会い皆に出会い………
そこまでは、はっきりとわかる。だが道が逸れたのは一体何処からだったのだろうか。気付けば僕達は皆殺されて行方不明にされていた。

一体…一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体一体いったいいったいいったいいったいイッタイイッタイイッタイイッタイイッタイ………どこからが始まりだったのだろうか?

そして考えては振り出しに戻るんだ。何度も何度も。嫌なくらいに―――…次第に自分が誰なのか分からなくなるのを恐れて……
目を閉じれば皆が座っていて話をする。そうだ、今から僕達は新しいゲームをする。しなければならない。真実を知るために。帰るために。

また目を閉じる。目の前が真っ暗になり何も感じなくなる。そして名前を呼ばれる。“アイチ”ではなくもう一人の僕“アイム”の名前が。
そうして目を開けるんだ。新しい…ゲームの始まりだ。


始まりを告げる鐘が鳴る。
それは針がなく、もう鳴らなくなったはずの時計塔から。
それは悪夢の逸話なのだ。









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