・先導アイチ行方不明
・櫂トシキ行方不明
・先導エミ行方不明
・葛木カムイ死亡
・三和タイシ死亡
・戸倉ミサキ死亡
・雀ヶ森レン死亡
・スイコ行方不明
・コーリン行方不明
・レッカ行方不明


よって“悪魔の住む館”の謎を解いた者はいない。選ばれし者の7人は永遠にさ迷う刑罰が与えられる。
以下、次の駒を見つけるに従い準備せよ。
























「あーあ、残念だったね。あともう少しだったのに」
「仕方ないわよ。所詮その程度だったんだから」
「でも惜しかったわ、あと少しだったのに」

レッカは赤い縦ロールを揺らし、ソファーに座り込んだ。コーリンは何か面白くなさそうに紅茶を飲み、スイコを見た。

「てゆーか私達まで行方不明扱いしなくても良くない?だって実際参加してないし」
「わかりやすくする為よ」
「傍観者なのに?」
「傍観者だからよ」

ぱたん、と読んでいた日記帳を閉じ、スイコは立ち上がった。コーリンもまた溜め息を吐き立ち上がる。向かった先は大きな鉄材で出来た扉だ。それを難無くスイコは開けた。

「――お待たせしました、さて愉しんで頂けたでしょうか?


選ばれし7人の皆様」

にこり、と微笑み長テーブルに席に着く7人……。
先導アイチ、櫂トシキ、先導エミ、葛木カムイ、三和タイシ、戸倉ミサキ、雀ヶ森レン
の7人を見た。

「んな訳ねぇだろ!!一体何だよあの茶番は!てか何で俺が一番最初に死ぬんだよ!」
「一番弱いからじゃない?」
「て、てんめぇ〜〜!!」
「落ち着きなさいよあんた達…」

意地悪そうな笑みを浮かべたレッカは「だってぇー」と面白そうに言いながらコーリンの方へ振り向いた。

「最初から説明をしろ」
「最初、ですか…。貴方達は一体何処から、が最初だと思ってますか?ふふ、それは誰にもわからない。気が付けば貴方達は選ばれし者としてゲーム盤で踊っていた。そうでしょう?敗者の皆様?」

右手を頬に当て、左手で組む。そのスイコの表情に誰一人として口を挟まない。

「残念なことに貴方方は謎を解くことが出来なかった。ああ―解く前に死んだ方もいましたね、ごめんなさいね。まぁ結果的にそのお陰で貴方方は元いた世界に帰ることが出来なくなってしまった。貴方達は死んだのだから」

コーリンが運んだワゴンから紅茶を酌む。蒸気が上がり、皮肉にスイコはそう言った。

「待て。じゃあ行方不明となった奴らは何だ?死亡した奴らまで何故此処にいる?」

「ゲーム盤にいるのは駒にしかすぎない。つまり死んだのは貴方方自身の駒。此処はゲーム盤の外、駒を動かす貴方達は生きている」
「生きているのなら帰れるんじゃないの?」
「何度も言うように貴方達は謎を解くことが出来なかった。だから生きていても帰れないわ」
「理不尽だろそれ…」

カチャ、と紅茶を一人一人の席に置いていく。三和はがっくりとうなだれ溜め息をついた。

「じゃあ俺らは今から一体何をすればいいんだ?何の目的も理由も無しにただ此処にいるだけなのか?」
「いいえ、貴方達にはまだ望みはある。新しい駒として次のゲーム盤に立って貰うというね」
「な!?ふざけんな!またあんな目に私達は合わなきゃならないって言うの!?」

ガタンとミサキは立ち上がった。勢いがつきすぎたせいか紅茶がテーブルに零れてしまう。

「あんな」
「帰りたくないの?」
「え?」
「貴方達は解かなければ永遠にこの地にいることになる。それは死ぬことよりも辛い。これは私達からの恩恵でもあるのよ?このチャンスを逃せば一緒さ迷うハメになるわ」

紅茶は滴となってカーペットに零れ落ちる。それを見たレッカは「仕方ないな〜」と言い、手をパン!と叩いた。それは一瞬で何もなかったかのように紅茶はテーブルにあり中身は入っている。下を見ればカーペットにはシミがない。

「魔法かよ…」
「代償だからねー」
「代償?」
「レッカ、やめなさい」
「はぁーい」
「話しを戻すわ。貴方達が残した謎はこれ」

・消えた日記帳
・悪魔の正体
・戸倉ミサキの死亡理由
・先導エミの行方
・三和タイシはどこへ消えたか
・雀ヶ森レンの死亡理由


「これを解けば帰れるんですか…?」
「帰れないわ。解けるはずがない、誰一人として悪魔の正体を突き詰めていないから」
「じゃあ…次のゲームに僕達が勝てば帰れるんですか?」
「ええ勿論。勝てれば、ね。この世界から抜け出すことは可能よ」

まるで悪魔の囁きの様だ。全身が重い。喉を刔られて腹を裂かれて……怖い、怖い、怖い。だけど帰らなければならない。どうしてかは分からないが解かなければならないのだ。

「なら、僕はやります。次のゲームで勝って元いた場所に帰る」
「アイチ、それ本気!?」
「本気だよ。それに僕はどこからが始まりだったのか知りたい。約束したんだ、必ず…一緒に帰ろうって」
「アイチ……」
「無論、俺もだ。祖父様から預かった手紙は本当だ。俺は必ず解き、祖父様の分まで生きる。それにこんなつまらない茶番から早く抜けたいしな」
「櫂くん、」

櫂も立ち上がるとそれに続けて三和も立ち上がった。ガタッ、と椅子が動く音にまた振り返る。

「俺だってこんな茶番から早く抜けたいに決まってんだろ、櫂ばっかりいい格好はズルイぜ?」
「あたしも同感。あんな訳もわからない内に殺されて黙ってられないよ」
「僕だってまだアイチくんと初夜を迎えてないんですよ?本当、あんな死に方僕に相応しくないですよ」
「それ言ったら俺もだろうが!あんな無様な死に方…恥ずかしいだろ!」

バン!とテーブルを叩き立ち上がったカムイは真っ赤になりながら横目でエミを見た。エミの表情は依然として曇っており手を握っている。

「わ、私は……」
「大丈夫だよエミ。僕達は帰るんだ、一緒に。僕一人じゃあきっとだめだけど……皆やエミがいれば絶対僕達は勝てる、生き残れるはずだよ」
「アイチ……。…うん、わかった。アイチじゃあ頼りないもん、約束だよ?絶対に一緒に帰ろう…!」
「うん、約束」

アイチはエミに微笑みかけて小指を差し出した。応えるようにエミも差し出し、指切りげんまんをする。

「じゃあさっそく…これから使う自分の駒を創って貰うわ。容姿は同じでも名前が同じなのはだめよ、貴方達は既に一度死んだことになっているから」
「えっと…兄妹の場合は名字が一緒でもいいんですか?」
「もちろん」

ワゴンの下からコーリンは紙とペンを取り出すと各席に置いた。どうやら簡単にこれに書けというらしい。

「貴方達のもう一人の存在としてゲーム盤に立ち、もう一度生きてくれる。……さぁ、第2ゲームを始めましょうか」

スイコは固い扉を開けて足を踏み入れた。どうしても生き残ってもらわないといけない。そして気付いて欲しいのだ。自分達が犯した戮(つみ)を贖罪しなければならない。この館から一歩も出れなくなった呪いをかけられたスイコ達はただそう願う。

「私達……傍観者を愉しませてご覧なさい。戮深き選ばれし7人の皆様――」

















・先乃アイム(センノ アイム)
⇔先導アイチ
年齢:21
職業:医大生

・先乃エル(センノ エル)
⇔先導エミ
年齢:18
職業:高校生

・架耶トシノ(カヤ トシノ)
⇔櫂トシキ
年齢:25
職業:弁護士

・神崎カノン(サンザキ カノン)
⇔葛木カムイ
年齢:20
職業:工学生

・戸之山ミユキ(トノヤマ ミユキ)
⇔戸倉ミサキ
年齢:22
職業:物理学生

・涼城レント(スズシロ レント)
⇔雀ヶ森レン
年齢:25
職業:カメラマン

・三沢タイガ(ミサワ タイガ)
⇔三和タイシ
年齢:26
職業:ジャーナリスト



コイツラガ新しい駒カ?
セイゼイ我ヲ愉しマセテクレル事ヲ期待シヨウジャナイカ

サァサァ、動け動け、
殺しテ、死んで、殺して殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ殺しテ―――……
生き残れ!!

コノ終わり妣(なき)
悪夢ノ逸話デ―――









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