※ゲームとは関係ないです ただの架耶アイです(← 「待ちなさい、アイム!」 「待たないよ!だってちゃんと聞かないと気が済まないんだもん!!」 バタバタと廊下が騒がしい。どうやらそれはエルとアイムの声だ。追いかけっこ……の様にも捉えられるが切羽詰まった感じだ。 そう考えてたと同時に大広間のドアがバン!!と開いた。息を切らしながらアイムは入ってくる。それに続いてヨロヨロとしながらエルが続く。 「か、架耶さん!!!」 「なっ、なんだ?」 ずんずんと険しい表情をしたアイムが架耶に近寄ると目をカッと開いてそう叫ぶように呼んだ。掛けていた眼鏡がずれ下がる。 「……は…では…か!!」 「は…?」 「赤ちゃんはコウノトリが運んでは来ないんですか!?」 「………は?」 顔を真っ赤にしながら叫ぶように言い放った言葉に大広間は静まり返った。エルは後ろで「あちゃー」とおでこに手を当てて唸った。だがアイムの顔を見る限りかなりアイムは真剣な様で……。 「あ、ああ……。と言うかお前仮にも医大生だろ。何言ってんだ」 「だって、だってエルが…!!」 うるうると涙を目にいっぱい溜めながらエルに指を注し架耶に訴えるアイムを見て、架耶はエルを見ると困ったようにエルは苦笑いをした。 **** どうやらエルの話しによると子供の頃の話しをしていたらしい。そこで、ふとエルが零してしまったのだ。まさかこの年になってまで信じているとは思ってなかったらしい。 その時のアイムの表情は夢を壊された子供のようだったとエルは語る。 「アイムって純粋だなー」 「汚れをしらない天使…」 「天使……。ミカエル、ガブリエル、センノエル…はっ!エルさんは天使だったのか!」 「お前はちょっと黙ってろ」 カノンのそんな発言にも耳に入らずエルは架耶に説明をしていた。いや、もしかしたら入っているかもしれないがエルの頭の中での割合が、ほぼアイムでいっぱいなので結局は通り抜けてしまう。 うるうるとしてるアイムが可愛かったのかミユキは後ろから抱き着いた。 「戸之山!?」 「ちっちゃい…。可愛い…!」 「ふぇ!?」 わたわたするアイムをまるでぬいぐるみか人形を抱きしめるかのように頬にすりながらミユキは言う。 それを見たレントは目をきらきらと輝かせながら立ち上がった。 「キュ〇ハッピーずるいです!僕だってアイムくんに抱き着いてスリスリしたいです!」 「誰がキ〇アハッピーだよ!名前が同じだけで某東映のメルヘン魔法少女と一緒にするな!」 「あざといアイムくんはピースですね」 「とりあえずそのドヤ顔をやめろ」 びしっと親指を立ててドヤ顔をするレントはさておき聞きたい話から物凄くズレてしまった。何だか面倒臭くなり疲れた架耶は立ち上がり大広間から出た。 「あっ…!」 「と言うことでアイムくんいただきま―――!」 「すみません、ちょっと出て来ます!」 「ごっ!?」 バタン、とレントが飛び付こうとしたと同時にアイムが大広間から出てしまった。 涙目になりながらレントはミユキの横をゴロゴロと転がっていった。 ***** ―――バタン、 「―――ったく、あいつらは騒がしいやら何やら全く…」 部屋に入り持っていた本をテーブルに置くと溜め息をつきながらソファーに座った。テーブルの上には祖父から貰った手軽や資料、本や写真やら……いやテーブルの上だけでもない、床にまで散らかっていた。 さすがに片付けないとな、とは思ったが何か飲みたくなり寝ようとした目を開いた所、白いマグカップが視界に入った。 「架耶くん、コーヒーだよ。はいっ」 「あ、ああ…アイムか。ちょうど良かった、何か飲み物が欲しくて―――って何でお前いる!?」 コーヒーを受け取ろうとした所でハッとなりソファーから落ちてしまった。ついさっき入ったばかりでドアもきちんと閉まったはずなのだが。 「Ep1の時、架耶くんもとい櫂くんが解説してくれたのあったよね?それで僕も後ろからついてって一緒に入ってみたんだ、えへっ☆」 「何が『えへっ☆』だ。不法侵入するなノックすればいいだろう」 「でもでも、架耶くんの隣にいつもニコニコ這い寄るアイムきゅんでいたいから…!」 「這い寄るな這い寄るな。そして自分できゅんを付けるなあざとい。あざとすぎる」 結局アイムからコーヒーを受け取り口をつける。アイムはわくわくドキドキしながら感想を待つ。だが架耶は一口飲み手が止まったままだ。 「あれ?架耶くん、架耶くん、まだ残ってるよ」 「………これはお前が作ったのか?」 「うん。さっきこっそりひっそりと架耶くんの後ろで」 この館の部屋にはシャワーとキッチンがついている。だから小腹が空いたときなどに皆は使う。アイムの発言にはツッコミ所がありすぎだったが今はアイムから貰ったコーヒーにツッコミを入れたい。 「まぁ今言いたいことはただ一つ。………これは何だ」 「え?コーヒーだよ」 「お前が思うコーヒーと俺が思うコーヒーが違う。いや、こう聞こう。何を入れた」 「そこにあったコーヒーの素のやつと…あっ、あとはカリンさんから貰った…そう!青汁と黒酢!身体にいいんだって」 えへ、と可愛くあざとい笑い方をするアイム。それを聞いた架耶は無言で立ち上がるとコーヒーをキッチンの流し台に捨てた。 「わぁああ!架耶くん何するの!?」 「じゃあお前が飲んでみろ!」 「酷いよ架耶くん!僕のガラスのハートが粉々だよ!」 「俺のハートだってズタボロだ」 「う〜っ」と涙目になりながら顔を真っ赤にし架耶を見上げるアイムは架耶にとっては小動物を思わせる。思わず無意識に伸びた手がアイムの頭に当たった。 「ふわ!?な、何架耶くん?」 「いや…何となくな。……うむ…」 と、架耶が唸り声を上げたかと思うと何をされるかわからないアイムはおどおどと架耶を見上げている。ぐりぐりと頭を撫でたかと思えば次にアイムを後ろから抱きしめてみた。 「ふにゃあ!!?か、かかか…!?」 「……細いな…」 「ふわわわ?!」 「頭一個分か」 とアイムの頭の上に自分の頭を乗せてみた。何が起きてるのかさっぱり理解が出来ないアイムはぜんまい仕掛けの人形のように振り向いた。 「い、いきなりどうしたの!?」 「いいだろ別に」 「むっ…。じゃあミユキさんに妬いたとか?」 「………」 「………あれ…?」 「………」 「目逸らした…。…もしかして図星…?」 「………」 「………」 じーっとアイムは架耶を見つめる。顔が見えないが耳が真っ赤な架耶を見て耐え切れなくなり噴き出してしまった。 「ぷはっ、架耶くん耳真っ赤だよ!あはは、」 「うるさい黙れ」 「でも何で妬いたの?架耶くんもぎゅってしたかったの?」 「……お前が、」 「?」 こほん、と咳ばらいをして意を決したのか架耶は口を開く。アイムは首を傾げた。 「お前が他の奴に触られるのが嫌なだけだ。ただそれだけだ」 「架耶く、ん」 最後に小さく耳元で「悪いか」と架耶は言う。架耶の身体にすっぽりと収まる小さな身体のアイムは嬉しそうにハニカムと首を横に振った。 「嬉しい、な。やっぱり僕架耶くん好き。大好き!」 「当たり前だ」 「えへへ、じゃあこれからは寂しがり屋で甘えん坊な架耶くんの側にいてあげるね」 「それはこっちの台詞だ」 「えぇ?」 架耶の腕に疼くまるようにアイムは埋まってみる。思わず架耶の匂いがする、と感じた。そして互いの顔を見て目が合うと笑った。 「じゃあ僕がお掃除して、料理だって作ってあげるね」 「それは勘弁してくれ…」 「ど、どうゆう意味!?」 「お前の料理オンチの意味だ」 「訳わからないよ!…むぅ…じゃあ次は真面目に頑張るね!」 今回は真面目じゃなかったのか、などと言うツッコミを入れるのは心の中にしまった。 今はただこうしていたい。自分が見付けた温かな存在。それは自分の希望になる。 こんな嘘偽りの世界の中で小さな幸せを見付けてしまったのだ。 だから…… ただ今だけ。そう今だけこうしていたいのだ。密かに想った願いは互いにわかっているのか否か……。ゆっくりと柔らかく二人は笑い合った。 果してこれは架耶アイと言っていいのかドッキドキです…\( ^o^ )/ いつもお世話になっているハノカさまにこっそりひっそりと捧げます…!これからも応援してます〜(*´///`*)ノシ ……しかしこんな拙いものでいいのか…ううむ…。 →「星彩」ハノカさま ← |