駒ハ今何処ニイル?
チャント館ニイルゾ。ダガマダ辿リ着イテナイノガ三名イル。
アア、ソイツラハ来タバカリダ。仕方ナイ。
ソウカ。ナラモウ、ゲームハ始マッテルナ



Episode1:悪魔の住む館


櫂とアイチ、そしてエミは歩いていた。櫂を先頭に、その後をアイチとエミはついていた。

「私……まだ信じられない…本当にここは…」
「ごめんねエミ、僕が行こうって言ったばかりに…」
「ち、違うの!そうゆう訳じゃなくて……。アイチ今からどこにいくの?」

先程目を覚まし、混乱状態だったエミを落ち着かせアイチは事情を話した。南の島のチケットはもう何処にもそんな名前はかいておらず招待状になっていた。服はまだ濡れており張り付いてどこか気持ち悪そうだ。

「えっと……櫂くんどこに行くの?」
「館だ。この島の奥には館があるらしい。そこに選ばれた奴らはいるはずだ」
「なん「何でそんな事わかるんですか!?」

と、アイチの言葉を遮りエミが櫂に向かって言った。エミは櫂を睨んでおりうっすらと涙目になっている。

「エ、エミ?」
「あなたも此処に来るのは初めてだと言っていたのに何でわかるんですか?それにあなたはこの招待状の事をよく知っているし……一体何者ですか!」

エミはまだ信じれなかった。騙されているのではないか、と不安と恐怖があったのだ。いくらアイチがいるとは言え、アイチは騙さやすく単純なのだ。いつもエミはアイチを守る役目だった。

「…俺にもちょうど一ヶ月前にそのチケットが来た。南の島という名前でな。だがそれはただのチケットなんかじゃなく招待状だと気付いた」

そう言うと櫂はポケットからアイチと同様、招待状を取り出した。そこには赤く書かれた確かにアイチと同じ招待状だった。

「これは二枚重ねになっていた。上と下に紙があり、上の紙は水につけるとすぐ溶けてしまう。一方下の紙は水に強く、ただの紙ではない。そしてこの招待状に書かれていた内容を見て思わず息を飲み込んだ。招待されたこの島は、70年前この島に行ったっきり行方がわからないなった俺の祖父さんがいた場所だと」

ぐしゃり、と櫂は持っていた紙を握り締めた。その表情は悲しそうでそして憎しみを持った表情だった。エミは不意をつかれたかのように目を見開き俯く。

「祖父さんはいつ産まれるかもわからない孫…俺に手紙を託したんだ。それはこの島に来て祖父さんの身に起きた全ての事を手紙に書き、そしてこの島の謎と呪いを解いて欲しいと。証拠に手紙もある。そして写真もだ」

淡々と語る櫂は持っていたボストンバッグから大事そうにされていた色あせた手紙を取り出した。それは多く、まるで日記帳分くらいの厚さだった。そして裏には日付が書いてあった。

“1942.XXXX”

「これが俺の祖父さんだ。隣にいるのは霞んで誰だかわからないが……、あと他にもその当時の島にも人がいたらしい」
「櫂くんに…似てる…」

写真を見たアイチは思わず呟いた。目が一番似ている。カラーではなくモノクロ写真なのだがアイチには瞳の色が櫂と同じエメラルドグリーンに見えるのだ。櫂のいう通り隣に写る人は顔が霞んでよく見えなかった。だが身長は低いようで和らげのある表情の櫂のお祖父さんは隣にいる人の頭に手を置いていた。

「祖父さんが俺に最後に残した手紙には『俺が死んでもこの謎と呪いは解けなかった。だから最後にお前に托す、いいか。―――既に始まっている。気を付けろ。殺される前にお前が殺すんだ。この島に隠された全ての呪いを解け――!』そう最後の手紙…1942年12月31日に書かれていた」

この島に櫂が来た理由。それはこの島の全ての謎と呪いを解くために来た。選ばれた者として、托された者として。櫂は覚悟を決めて来ていたのだ。

「じゃ、じゃあ…ぼ、くたちは…何で…?櫂くんみたいに理由は――!」
「駒が必要だったんだ。選ばれた駒が。いいか、招待状が来たということは70年前に起きたと同じことが起きる。最初に言っておく、この島には呪いなど存在しない。ただ殺戮を繰り返す犯人が存在する」

アイチもエミも頭がついて行かなかった。淡々と語る櫂につい何時間前まで旅行気分でいっぱいだったはずにも関わらず、元からこんな悲劇が起こるなど一体誰が知っていた事だろうか?

「俺達はまず館に行かなければならない。そこで最初の事件は起こる。祖父さんや他の奴らはこう呼んでいたらしい。『悪魔の住む館』と」

そう言って櫂が指を差した先には確かに館らしきものがあった。ひっそりと佇む大きくな豪華で西洋風なレンガで造られている。いつの間にここまで来たのだろう、とアイチとエミは目を疑った。

「何度も言うが俺らの他に選ばれし者もいる。言うなれば主催者が用意した箱の中に駒をいれただの遊びをされているような物だ。だが俺は70年前のようにはいかない…安心しろ。お前は俺が必ず守ってやる。そしてこの島から抜けるんだ…!」

エミは下唇を噛み締めて小さく震えた。そして小さな声で櫂に「ご…めん……なさ…ぃ」と言った。そんなエミをアイチは優しく抱きしめ、櫂を見て微笑んだ。そして櫂が差し出した手をとり歩き出した。そしてゆっくりと古びた館に飲み込まれるように入って行った。



館ニ入ッタか?
アア。コレデ全テノ駒が揃ッタ。ダガ―――厄介ナノヲ招イテしまっタ。
誰ダ?櫂トシキカ?
イイヤチガウ。コノ島ノ全てヲ手に入レテシマウ人物ダ―――…。ソレハ、

“先導アイチ”ダ








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