ばさり、と何かが落ちた



櫂くんの家に来た。初めて、じゃないけどやっぱりどきどきする。そして櫂くんはわざわざ僕のために飲み物を持ってきてくれるのでキッチンに行ってしまった。その間僕はリビングにいて、床に毛布があったので踏んで転ばないように、と毛布を持ち上げソファーに置こうとした



………ら、落ちたてしまったのだ




「あ、えと、あ…」




とある雑誌。表紙には綺麗な女の人が衣服を身に纏わずにきわどい所を隠すようなしかしギリギリな格好をしていて……。ち、ちなみにタイトルは、『巨乳パラダイス』だ。呼んでおいて恥ずかしくなった


というかこれは、ぞ、俗にいう……




「え…えっちな本…!」




思わず声に出してしまいボン!と顔が真っ赤になったのがわかった。目がチカチカとする。というかこの本に載ってる女の人……




「おっきい…」




一体僕の何倍だろうか…。というかや、やっぱり櫂くんもこうゆう本…この位おっきいのが好み……



がちゃ、




「悪い、オレンジジュースが無くなっていた。代わりに…アイチ?」
「わぁああっ!!?」




条件反射、なのだろうか。バッと思わずえっちな本をソファーの下に入れてしまった



「どうした…?」
「な、何でもないよ!!」



くるりと前を向き、首を横にブンブンと振った。そっと後ろの手で本を押した



「そうか、」
「う、うん」



何処か不思議そうな顔をしながら櫂くんはテーブルの上にことりとコップを置いた



「林檎だがいいか?」
「全然!りんごジュースも好きだよ!ありがとう」
「ならいいが」



櫂くんは優しい。とても気を使ってくれる。こんなにかっこいい人が僕のか、彼氏だなんてとっても贅沢……



「へへ…」
「どうしたんだ?」
「ううん…。ただ僕はとても幸せだなぁ、って。櫂くんと一緒にいれて」
「……アイチ、」
「ん?何櫂く……」



櫂くんの方を振り向けば、目の前には櫂くんの顔があって、



「!!」
「……初めてすることじゃないだろう」
「そ、そそうだけど、い、いきなり…!!」



すると櫂くんはふっと笑った



「……いじわる…」
「元からだ」



ふにゃりと笑ってまた櫂くんが僕の口を塞いだ















「よっ、アイチ幸せそうだなぁ!」
「あ、三和くん!」



カードキャピタルのテーブルに座りアイチはいつものようにカードのチェックをしていた。すると後ろからは三和の声が



「あ、座っていいか?」
「うん、いいよ」



三和はアイチの向かいの席に座った。ふとアイチは櫂の姿が見えないことに気付いた



「あ…の、櫂くんは…?」
「ああ、櫂なら今日日直だから遅れるとよ」
「そうなんだ…」



しゅんと俯く。三和は本当好きなんだな、と思いながら笑った


「まぁまぁ、もう少ししたら来るからよ。昨日も会っただろ?」
「会いました……」



と、アイチは昨日のことを思い出した。昨日、櫂の家に来てある本を見つけてしまったことを


「み…三和くん…」
「ん?どうしたアイチ?」
「あ、あのですね……。や、やっぱり、男の人って……」
「?」



言おうか、言わないか、なんだか恥ずかしくなってきてしまい俯きながら指をくるくる動かす


「む、む…!」
「む?」
「胸が大きい人の方が好きなのかな!?」



ええい!とばかりにアイチはガタッと勢いよく立ち上がり叫ぶように言った。いや、実際は叫んでいたが。そしてアイチのその声に店内にいた、ミサキ、シン、カムイ、エミはアイチではなく三和を見た

「え、ちょ、アイチ?」
「アンタ何アイチに言ったのさ!?」
「えぇ!?待って!ちげぇよ俺は何も……」
「答えて下さい!!」




うっ、と涙目になりながらアイチはテーブルをバンと叩き三和に言った。三和は驚きながらどうしようと困っていた



「あ、いや、それは個人差だからな…大きいも小さいも人それぞれだと思うぞ…!」



心の中で少し三和は良いこと言ったと思っていたが、それはむしろ逆効果だった



「個…人差…」
「あ、ああ、そうだ!」
「そんな……」
「え?」




個人差=櫂くんの家にあった本=『巨乳パラダイス』=櫂くんは個人的に大きい方

という何ともアイチのイメージの公式が浮かんだ




「とにかくお前謝れ!このクズが」
「ひ、酷くね!?って、アイチ!?」



アイチは耐え切れずタッと走りカードキャピタルを出た



「アイチ!?」
「クズ、クズ、」
「俺何かした!?やべぇ、ミサキちゃんの言葉もかなり辛いけど俺櫂に殺され……」
「おい」



と、ちょうど良く櫂がアイチと入れ替わりにカードキャピタルに入ってきた



「ひぃい!さよなら俺…」
「今、アイチっぽい奴がいたが」
「それアイチだよ!この馬鹿が何か言ったんだよ」
「ちょ、待って!誤解!櫂怖い、俺の話しを聞いて!」
「5秒でまとめろ」
「理不尽!」




まぁいいだろう、とばかりに櫂は三和の掴んでいた胸倉を放した



「いや、な。簡単に言えばアイチと話ててな。ああそうだ。昨日櫂の家行ったんだろ、辺りから変になったが……、まぁそしたら何か思い詰めた表情で叫ぶように『男の人は胸が大きい人の方が好きなのかな』って聞かれたんだよ」




だから俺は悪くないよな?と三和は言う。ミサキはまだクズと連呼していた




「昨日……」
「何か思いあたることあるか?」



昨日、と言えばアイチが俺の家に来て(自主規制)………そういえば何かおかしかったな。何かを隠すようにソファーの近く……

ソファーの近く…?そういえばその近くには三和の忘れ物があっ、た………


と、櫂はぷつんと何かが切れたかのようにまるでアイチが昨日何を見て、何を隠したか、を見ていたかのように悟った。そして目をカッと見開いた




「か、櫂さ…ん?」
「三和……明日、覚えてろ」
「ええぇえぇ!?」
「やっぱりアンタのせいじゃない!このドクズ!」



櫂はアイチの後を追うかのようにカードキャピタルを出て走り出した。何処にいるか、などだいたいイメージはつく















先程から摩るようにアイチは胸元に触れていた



「どうしよう…これじゃあ櫂くんに嫌われちゃうよ…」



ぎゅっと胸の前で手を握った。実際アイチの胸はそれ程小さくはない。むしろ中学生にしては大きい方だ。それに今更気にすることではない。まぁつまりはやる事はやっているということだ



「どうしよう……」
「やっぱりな」
「か、櫂くん?!」



しょんぼりとベンチで落ち込んでいた所、櫂が来た。アイチは思わず身体をのけ反る



「昨日から様子がおかしかったと思えば……」
「ご、ごめんなさい…。でも僕櫂くん好みの女の子じゃないし、む、胸おっきくないし…!」


途端にアイチはぽろぽろと泣き出した。どうすればいいのかわからなくなってきた



「はぁ…。なんだそんな事だったのか」
「そ、そんな事って!僕はこれでも悩んで、むひゃあ!!?」


いきなり櫂はアイチに近付いたかと思うと『むにぃ』と柔らかな音がした



「か、か、いく…!?」
「俺は、この位でも充分だ。というかお前以外に興味はない」


キリッとカッコつけて爽やかに言ったがまだ櫂の手にはアイチの胸を揉んだままだ

しかしアイチはかぁっと頬を染めて嬉しそうに櫂を見た



「ほ、んと…?」
「ああ。本当だ。だいたい俺の家にあったあの本は三和のだ」
「そうなんだ…!良かった…」



ほわりほわりとそこは二人だけの世界一色に染まっている
途端に櫂はアイチに覆いかぶさるように顔を近付けた




「か、櫂く、!?」



あまりの近さに思わず身体を後ろに移動したが腕を引かれた



「ッ、んふぅ…!!」




ちゅ、と最初は触れるだけのキスだったが途端に櫂はアイチの口を割り、ぬるりと舌を侵入させてきた

櫂くんからのキスはやっぱり慣れない…!!息が出来ないし、すごくどきどきする



「ふ、ぁ…、かいく…」



櫂の舌がぬるり、とアイチの咥内を舐めるように移動を繰り返す。アイチもそれに応えようと必死でついて行こうとするが息をするのに必死でされるがままの状態だ




「ん、ふぁ、」
「(……可愛い。外、はまだしたことなかったな)」



ちょっと変態な思考になってきている。と、そこへ少し心配になった三和が公園に……




あいつら……
こんな真っ昼間、しかも外で公園のベンチで何やってんだよ…!!リア充にもほどがあるだろ!つか櫂の右手どこ触ってんだよ、バッチリアイチの胸触ってるじゃねぇか…!どうしよう。俺早く家帰りたい。うん、帰ろう



三和は公園に入ろうとした足を戻し、くるりと回れ右をして何も見なかったことにして帰ることにした



「疲れた…」



もうこの際、櫂の家に置いていった事の原因も忘れてしまおうと逃げたのであった





イチャらぶでちゅー有りということだったので妄想に火がつきました←
三和くんが苦労人だといいなと思いながら女体化アイチとか大好きだったので楽しかったです!この度はリクエストをして下さりありがとうございました!