そんな未来はウソである!?



櫂アイ


俺は後江高校一年生三和タイシ。突然だが俺は人が嘘をついてるのを見抜くことが出来る。特技とかじゃなくて能力な。そして気になることが一つ。俺の前に座る席のやつがずっと俯いているのが気になる。何をする訳でもないのにな



「なぁなぁ、」



とりあえず声を掛けてみる。もしかしたら具合が悪いのかもしれない。肩を叩くとゆっくりとそいつは振り向いた



「……はい…?」



綺麗な青色の髪をした小柄な……男…?ぱっちりと開いた大きな目に童顔。一応制服は男子用を着ている。制服を見なければ女子の様だ



「なんだ腹でも痛いのかと思ったぜ。ずっと俯いてるからよ、良かったー!あ、俺三和タイシよろしくな!」



手を差し出す。何はともあれ折角だ、友達になるチャンスだ。だが相手は一緒こちらを見たかと思うとまたパッと目を逸らした



「あ、えと、僕は先導アイチです……よ、よろしくお願いします…」
「アイチ…か。お前腹でも痛いのか?さっきから俯いて」
「ふぇ!?ち、違いますそんなんじゃあ…!」
「……じゃあ何だよ。こっち向けよ!」



中々こっちを見ないアイチに思わず腹が立ち肩を引き寄せ無理矢理こちらを向かせた



「っ!!」



途端に目を丸く見開いてこちらを見てきた。それには俺も少し驚いた



「な、何だよ、どうしたんだよ…?」
「…よ、余計なお世話なのかも知れませんが……その、翠の瞳に注意して下さい、」
「は?翠の瞳?何だそれ」
「し、信じて貰えないかもしれないんですが…僕実は人と目を合わせるとその人の未来がわかるんです」



何かを覚悟したかの様にアイチは言った。なんて非科学的な話だろうか。しかし俺には嘘が見抜ける。ましてや先導アイチは嘘が付けるような奴じゃないと第一印象でわかる



「お前……凄いな!」
「え…?し、信じてくれるの…?」
「ああ!信じるぜ!ふーん未来かぁ…」



俺が嘘を見抜けるようにアイチにも未来が見えてもおかしくないはずだ。ああ、全くおかしい所なんかない



「あ、アイチ目の下にゴミついてるぞ」



ぱっとアイチに手鏡を見せた。我ながら手鏡を持っている自分が不思議だった



「………あ」
「何だ、どうしたアイチ?」
「えっとね、今自分と目が合っちゃって…そしたら未来が見えたんだ」
「そうなのか」



まぁ確かに四六時中鏡を見たりするが自分と目が合った、などと意識は普通しないだろう。と言うか未来が見えるなど羨ましいじゃないか



「どんな未来だったんだ?」
「大したことじゃないけど、えっと……あそこに座ってる櫂トシキくん?と僕結婚してた」
「へぇ、結婚かぁ。いいなぁ、もう未来がわかった…えぇええ!!?」



ガタンと椅子から落ちるかと思った。衝撃的すぎる話だ。さらりと言えるものじゃない。と言うか大した事だよ全く!

俺の斜め後ろに座る無愛想なやつは櫂トシキと言う。腐れ縁なのか知らないが幼稚園から一緒だった。またしても高校も同じだとは……。入学式の時に「またか…」と疲れたように言われたことを思い出す



「そうだ僕、先生に呼ばれていたんだ、三和くんありがとうね!三和くんとお友達になれて嬉しかった!」



そう一言言うとアイチはパタパタと教室を出ていってしまった。俺はと言えば今だ唖然としている。まさかあの櫂が結婚…。いや、アイチはそもそも男だ。と言うよりも二人は知り合いなのか?アイチは知らないっぽいが……

と、後ろから殺気がした。誰だろうと振り返る。そこには……



「か、櫂!」



物凄く機嫌が悪そうな顔をしながら櫂は俺を見下ろしていた。俺は櫂の機嫌を損ねるようなことをしたっけ?いやむしろ今日は一言も櫂と話していない



「三和、お前いつからアイチと仲良くなった」
「は?ア、アイチ?さっきだけど…!?」
「……いい度胸だな。俺を差し置いて先に仲良くなるとは」
「え、ちょ、何だよ櫂!お前もしかしてアイチのこと…!」



と言う所でぴたりと止めた。翠の瞳には気をつけた方がいい。そういえば櫂の瞳も翠……
あれ?もしかしてこれってアイチが言った通り……



「マ、マジかよォオ!?」



どうやら櫂はいつからか知らないがアイチの事が気になっているようです。そして俺のハートフルな高校生ライフとグッバイな生活が今日から始まりました。そして未来では本当に櫂とアイチは結婚するのだろうか。なんとも法律違反だ。しかしアイチの未来予想図はどうやら外れないようです




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