朽ちた世界の裏側



(黒)三和アイ
朽ちた世界の向こう側〜の後の話
R15?




いつもは優しく微笑んでさらりと撫でてくれる髪も、今日は違った。
三和くんだって、人だもの。嫌なことがあるのは当たり前にある。けど、僕にとってはこんなふうにされるのは初めてだったから、なんだか怖くて堪らなかった。

吐く吐息さえ、いつもより熱くて身体に集まる熱は収まることを知らないみたい。
汗ばんで、額に掛かる前髪がちょっぴり鬱陶しく感じてシーツを握れば後方からは三和くんがクスリと笑う声が聞こえた。


「なんだよアイチ、余裕あんじゃねぇか」
「よ、よゆ、うなんか、ない、よぉ…!」
「そうかぁ?俺以外とヤる気はあんじゃねぇの?」
「ふぇ、なんでそんなこと聞くの…?」


訳がわからなくなって、体力もない身体でがくりと震える腰をあとに目にはうっすら水の膜を浮かべて三和くんに聞けば返事は返ってこなかった。
その代わり、なんて言い方は変だけどずくん、とまた身体に熱い熱が溜まるのがわかって思わず声が漏れてしまう。


「アイチってば、櫂なんか誘っちゃってさぁ」
「んんっ、…それは、パフェのはな、し、だよぉ…」
「へぇ、……そう。でもさ、俺的にはアイチのその口から、櫂の名前が出るのが気にくわねぇんだよなぁ。アイチは素直に俺と話して、俺だけ見てれば問題ないのになんでそうやって皆に愛想振りまくかなぁってよ」
「わ、わかんなぁ、い、ひゃっ!みわくん、みわくん、ぼく、」


もう何も考えられなくなって、真っ白になった頭で縋るように三和くんを求める。頭の中にはもう、櫂くんなんていなくて、いるのは目の前にいる三和くんだけで。
たった三文字の言葉で、三和くんは満足そうに笑ってくれてお望みどうり、と言ってくれた。

世界が裏返った、くらいに頭がついてきてくれなくて空っぽの頭の中で僕はただ、三和くんの背中に爪を立てることしか出来なくて。
泣いて、鳴いて、啼いて、
そうすれば三和くんが、嬉しそうにしてくれるから僕も嬉しくて。僕が櫂くんを誘っちゃだめみたいで、これからは気をつけなきゃ、って思ってるけど今は何も頭に入らないから無理なのかも。
痙攣して、震えた身体は欲ばっかり。吐き出したってすぐに溜まる欲にはあんまり意味がないけど、恥ずかしい。

あのね、好きだよ、すき、三和くん、

縋り付いて、ねだる様に、絡みついた腕をまわして、秘密めいた言葉を並べて、朽ちた世界を一巡りするの。


「なぁ、アイチ、俺はお前がいればいいんだよ。だからさ、お前も俺がいればいいんだよな?…なんて聞くまでもねぇか」


ほら、見ろよ櫂。
お前の知らないアイチを俺は全て知ってるんだぜ?羨ましいだろ?
お前が入ろうとする隙なんてないんだよ。真っ白なアイチだって、今じゃあこうだ。
ごめんな、俺のせいで汚れてるんだ。
お前には真似できねぇよな?アイチが俺だけを見て、俺に縋り付いて求めるんだ。

ああ、そうだ。
せっかくなら、携帯でとって送ってやろうか?優しい俺は、それくらいならしてやってもいいんだぜ?
櫂の知る、先導アイチなんてもうどこにもいねぇんだよ。






(黒三和アイを書きたかっただけ。えろじゃない。そもそもえろくないっす。)




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