わたしを妹だと呼ばないで!



櫂アイ←エミ



わたしは誰よりもアイチと長く居て、誰よりもアイチのことが大好きなのにいつの間にかアイチの隣にはいつも櫂さんがいる。
学校から帰るときは当たり前で、カードキャピタルに行ったって、お休みの日でも何をするときでもアイチは櫂さんにべったりで、櫂さんはアイチにべったり。
アイチにはわたしがいなきゃ、一人でも起きれなかったのに今じゃそんなことはなくなって口を開けば櫂さんの話し。そんなアイチが堪らなく嫌で、わたしは毎回耳を塞ぐようにテレビの音量を上げたり、部屋に行ったり、話を逸らしたりする。

アイチはちっとも、乙女心がわかってないんだからぁ!!


「お前ら本当ー仲いいよなぁ」
「そうかな?普通だよね、櫂くん?」
「日常茶飯事だろう」
「それはお前らだからだろ」


欠かさず三和さんはツッコミをいれている。
何よ、何よ!!アイチってば、櫂さんの膝の上に乗っていちゃつくのが普通って絶対ありえない!わたしの方がアイチのこと大好きなのに!櫂さんがアイチのこと好きなら、わたしはそれの百倍なの!!


「お、俺の女神が怖い顔してる…!」
「エミちゃんは嫉妬深いから仕方ないんじゃない。あたしも良くエミちゃんの気持ちわかるし」
「? どうゆう意味ですか?」
「簡単に言えば櫂のことを気に入ってない、って話」


しばらく櫂さんとアイチのことを見てたけど、ずっと見てると持ってたパフィシカのカードをぐしゃっとしそうだったから、カードを持つのを止めておいた。


「っか、お前らもう結婚しちゃえよ」
「!? み、三和くん何言ってるの!?け、結婚なんてま、まだ早いよ!」
「そっちかよ!」
「そうだ、まだだ。せめて俺が高校を卒業したらだ」
「お前もかよ!!」


櫂さんとアイチが結婚したら、わたしのアイチがわたしのアイチじゃなくなるってこと!?そんなの絶対の絶対にいやぁ!!
はっ。
と言うか、そしたらわたしは櫂さんのことをお兄さんって呼ばなきゃで、櫂さんはわたしのことを妹って……い、いやぁああぁあ!!!!


「だめ!ダメーー!!わたしのこと、妹だなんて呼ばないでー!!」
「エ、エミ!?」


だっ、とエミは突然走り出してカードキャピタルを出て行ってしまった。


「エミ…どうしたんだろう…」
「くっ、強敵は先導エミだったか」
「エミさんと、け、結婚したら櫂のことをお兄さんと呼ばなければならないのか…!」
「めんどくさ…」









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テーマ「人外ファンタジー」
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