ファミレスに行こう! 2



櫂アイ



「アイチ、今回のテストはどうだった?」
「うーん…それがね、なんか前回より下がっちゃったんだぁ…」


一週間ほど前から、受験生なアイチ達はまだテストがあると報告を受けた。これが最後だったらしいが、別にこのテストは内申などにはもう関係がないため、悪くとろうが下がろうが関係ない。
だがアイチは勉強熱心で一生懸命なためか、結果が全て派ならしく、前回と比べてしまい落ち込んでいる様子だった。だからこそ、俺は誘う。


「アイチ、ファミレスに行くぞ」
「ふぇ?か、櫂くん?」


この間は三和に言われたから行ったが、今回は違う。
これは俺なりの励ましだ。言葉では上手く伝えれないから、行動で示す。それにアイチとまた行く、と約束はしてたからな。


「好きなものを頼め」
「で、でも……」
「なんだ」
「僕、前回より悪かったよ?だからその、約束は……」
「お前は結果を気にしすぎだ。次は本番だろうが。後ろばかりをみてないで、今は食べて力をつけとけ」
「う、うん…」

(もしかして、櫂くんは励ましてくれてるのかな…?やっぱり、櫂くんは優しい!)

「うんと、じゃあ……。半熟たまごのケチャップリゾットにしようかな、」
「デザートは」
「え、えっと…、デザートは櫂くんと一緒に食べたいな…なんて」


そう言われて断る人間などいないはずだ。もしいるなら、人間ではない。ノットヒューマン、バッドマン、サイボーグだ。
別に甘いものが苦手だとかっていうワケではないから了承する。アイチが選んだデザートはいわゆる、ビッグパフェ。
……俺と食べたいと言うよりは、ただ単にビッグパフェが食べたかっただけか。だが、食べきれない可能性を考えての敢えて誘った…。


「お前、あざといな」
「えっ?あざとい?なにが?」
「いや、こっちの話だ」
「??」


そうこうしてる内に食事が来た。
たいして腹が減ってたワケじゃないからパスタを頼んだ。噂ではパスタやらスパゲティやらレンジだとか聞いたことがあるがそれが本当だったら、もうアイチを連れてファミレスには来ない。そもそも俺の作る料理のほうが美味いな。
次からは俺の家に呼ぶか……。


「おいしいね、櫂くんっ」
「あ、ああ。そうだな」
「パフェはいつくるのかなー」
「こっちが食べ終わったら来るだろ。それまでは我慢してろ。…パフェくらい俺が作ったが…」


そうだ。
そもそもパフェくらい俺が作る。苺なら栃木に行って取りにいくし、マンゴーだったら宮崎に行くし、パイナップルなら沖縄。チョコレートならガーナ。シリアルならアメリカ。メープルシロップならカナダ。
ああ、だったらアイチを誘って世界旅行もいいな。


「ふふっ、櫂くんなんか楽しそう。イメージの世界?」
「まぁ、そんなところだ。…今度はカナダに行くぞ、アイチ」
「? いきなりどうしたの?カナダ?もみじの国旗?」
「椛の国旗……」
「海外もいいけど、僕はこうしてファミレスで櫂くんとご飯食べてるだけで幸せだよ」
「アイチ…。…なら、毎日来るぞ」
「ま、毎日はちょっと……」





アイチくんが好きで好きな櫂くんと櫂くんが普通に好きなアイチくんでファミレス行って何時間もいる、みたいな設定。一応、恋人かな?








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