絶対主義者のモラトリアム
ヤンデレ櫂×闇アイチ
例えば、と口を開いたのはアイチだった。肩を出した服を着て、櫂の上に馬乗りになりゆっくりと櫂の唇をなぞる。
「例えば、なんだ?」
「……もし、僕が櫂くんのことが堪らなく好きだったら…櫂くんは嬉しい?」
「なんだその変な質問は。好きも何も、お前は俺のだろうが」
ぐいっと、アイチの首につけられた首輪から伸びた鎖を引く。だが唇が触れ合う寸前でアイチは眉を潜め、両手をベッドに置いて抵抗をした。
「それは…おかしいんじゃないかな?どうして僕が櫂くんのモノなのかな?櫂くんが、僕のモノでしょう?」
「ふっ、意気がるようになったな。なら、例えばこれならどうだ?」
グッとアイチの首を引いて肩を押さえ付けるとアイチをベッドに沈めた。予想外の展開にぎゅっと反射的に目をつぶってしまう。
「ッ――!?」
「いい面だな。例えば、俺がお前のことが好きだったら嬉しいか?」
ぐっと櫂は右手でアイチの首を絞める。左手はアイチの両手を纏め、動けない状態にさせた。
一瞬、悔しそうな表情をアイチはしたがすぐに口元を緩めると薄く笑った。
「櫂くんが、僕を?やめてよ冗談なんて櫂くんのガラじゃないよ。それに――全然嬉しくないや」
「そうか―――なら、それ相応の対応をするまでか」
右手にもっと力を入れた。
一体、自分達はこの部屋に何日いるのだろうか。どうゆう経緯でこの場所に来たのか。いまとなっては思い出す必要がないか……そう思い深い口づけをした。
「なぁ、アイチ、俺を愛していると言え」
そう言う櫂に、まるで否定をするかのようにアイチは櫂の頬を触りぐいっと引けばまけじと深い口づけをした。
「櫂くんこそ、言ってみなよ」