どちらが甘いの



ミサアイ


「何でこんな日に限ってシンさんいないのさ…」



宅配便の荷物を見てミサキは呟いた。新しいカードやら何やらが届いたようで段ボールが四つもある。ミサキは小さい声で「使えない」と言った



「こんにち、っわ!?」



と、カードキャピタルに本日最初のお客様アイチが入って来た。しかしちょうど荷物を出入口の所に置いていたため邪魔になってしまっていた



「あー、ごめん、ちょっと待って今退けるから」
「あ、」



仕方ないとばかりに山積みになった段ボールを持ち上げた。思っていたほど重くはなかった。思っていたほどだが



「ミサキさん、僕も手伝います!」



と、ミサキが運んでいたのを見てアイチは山積みになった三つ目の段ボールを持ち上げた



「あぁ、アイチごめんねありが……」



やっぱりアイチは優しい。何処の誰よりも気のきく意思の強い子だ。最初見た時は女の子かと思ったが。しかしミサキが振り返れば今にもアイチが潰れそうな体勢。アイチが小さすぎるのかアイチが見えない
「ちょ、大丈夫!?私がこっちを持つから―――」
「ご、ごめんなさい…」



アイチの反対側をミサキは持った。一つ年上とは言え女子であるミサキより力が無いというまさかの展開に驚いた。まぁアイチならば仕方ないのかと思い始めたミサキだったが

結局二人で一緒に運ぶことにした。アイチがいてくれたお陰で少しは楽になった



「ありがとうアイチ、助かったよ」
「い、いえ僕は何も…」
「手伝ってくれたでしょ」



はい、とミサキはエプロンのポケットから棒つきキャンディーをアイチに差し出した。さしずめお礼と言った所であろう



「あ…ありがとうございます…!」



嬉しそうにアイチは笑った。いちごみるく味をあげて正確だった。とてつもなく、いちごみるくが似合う



「じゃあ、ミサキさんには…」



こっちがお礼にと言う事で渡したのだが何故かアイチまで鞄の中を捜し始めた。するとアイチはいちごポッキーを取り出した



「はい、あーん、」
「……え?」



思わずミサキは固まった。アイチから「はいあーん」をされるなんて。途端にアイチは自分の言い出したことに気付き顔を真っ赤にし始めた



「あぁああ、ち、違うんです、ごめんなさい!!これは癖で…!」
「癖?」
「エ、エミと一緒によくお菓子を食べる時はこうやってたので…!!!」



なるほど。さすが先導兄妹。あざといことをする。今だ顔を真っ赤にしながら謝るアイチの腕をミサキは取った



「え…?ミ、ミサキさ…」



パキリ、と半分くらいの所で折ってしまった。いちごチョコが何だか凄く甘い気がする。ミサキはアイチが手に持ったままのいちごポッキーを腕を掴みそのままぱくりと食べたのだ



「ミ、ミサ、ミサキさ…!?」
「美味しい。ありがとアイチ」
「え?あ、はい…?」



無意識にこんな事をしてしまうアイチを知り、エミが羨ましいのとこれからはアイチがいつ、何処でこんな事をしてしまうか注意しないととミサキは思った。特に厨二病の奴ら、と付け足しをした




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