私は、本が好きでした。よくある、物語に関してだとかではありませんでした。いわゆる、装丁です。表紙、文字フォント、中の文章構成。私は、別に、違う観点の自分確立させたいつもりはありません。けれど、見ていることが違いながら本屋にいることは自覚していました。すべてがドンピシャリ、な本は読みました。なぜなら、私の妄想の準備が整っているからでした。私は、読み終えたとき、決まって日記をつけます。たとえば、個人的な装丁の感想、物語の感想、などなど。こんな私にだって、本をよいと思う感覚くらいはありました。すべては、母から受け渡された絵本が、私の幼心をかき乱したことから始まるのです。
それは素敵な淡い色の世界でした。赤よりは薄ピンク、青よりは薄水色、オレンジよりは薄黄色。すべてが薄かったのを覚えています、いわゆる、パステルカラーと言われるもので描かれたもやもやとした絵が、本の内容よりも私を揺るがしたのです。浮遊感、見たことのない世界、絶対的な異世界。どっちにしても、絵本は少し幼い私にはむつかしいもので、読めないまま終わったのでした。
私は、文字も、色も、挿絵も、自由だと思っていました。ただ、デザインと読書を掛け合わせるには、デザインをやや押さえなければ、それは小説ではなくデザイン書でしかないと思っていた。少なくとも当時の私には、小説の中身が、デザインを引き立たせると思っていました。なので、小説が要、小説が主軸であるべき、と思う他ないのです。

120620.




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テーマ「人外ファンタジー」
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