ぼくは元々、別段無口な方でもなく、かといってよくしゃべる方でもない。順平のようにほいほい芋づる方式にネタが出るわけでもないし、かといって荒垣さんのように言葉少なでもない。中立のような、そんなところだ。
 けれども人と話すのが得意かと言われればそうではない。うっかり無駄に話しすぎてしまいそうになるし、いまいち饒舌にはなれないし。そのぼくの欠点である無駄を使わないように細々としゃべっていたら言葉が人よりも単調でその上言葉足らずになり、いつぞやか誰かにアイギスみたいだと言われた記憶がある気がする。アイギスなんて今の人間らしい方ではなくもっと機械らしいの時のことできっと誰かは嫌味で言ったのだろうがぼくは別に悪い気はしなかった。これは、もはや病気に値する根付いてしまった性格のようなもので、自分で気付いてすぐさま治せるものではない。
 ゆかりがぼくのことを名前で呼ぶのはきっと好意からなんだろうだとか、風花がうまくいった料理はぼくに食べてほしいと迫ってきたりとか、真田先輩がぼくを構うのはそういうふうに世話を焼きたいんだとか、ああだこうだとか、そういうことを感付くのはむしろあまりしゃべらないからなのだろうか。

 取り敢えずぼくは、いつまでたってもどこかのネジが飛んだようにまとまらないみんなのお母さんになるべきなので、たまには口煩く言ってみようかな、と思った。

120407.




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