大好きでとても頼れるパートナーだったのに、ライボルトが寿命で死んだ。その暁には、俺も死のう、とか、考えたけどこの平和な世界では自殺する以外に死にようがなくて、どうしようもない、途方もない。
さて、どこで死のう? 海で溺死? 陸地で餓死?
ああ、いや、そんなことしたって、俺は幸福だがあとに残されたやつは如何様に。全く、面倒だと感じてしまったら終わりだ。つまり、俺は独りではないと判って、勝手で、絶望的になった。都合が足りない。何故だか悲しくなって、ライボルトのことではなく、俺はなんてこんな酷い人間なんだと思い返していた。

死ぬ、という、短絡的思考は子供みたいで好きではないのに、いつしか楽をしたがったために死ぬという言葉の弊害を越えた。如実に、まるで顕著な言葉に呆れてるのは確かに俺だし、そんな言葉を操るのも俺だ。俺はなんなんだ、死にたいのか、生きたいのか。誰か、俺に問うてくれよ。
そんな考えが頭を張り巡らせて、いつしか俺はふらふらと頼りなく歩いて実家に帰った。弱りきった、なにか―――一物を抱えて帰ったら、ハルカが遊びに来ていたらしく俺の顔を見るなり何かあったかと訊くではないか。どんぴしゃり。俺は平然を装うが、内心ひどく、どきっとした。

「…そういうハルカだって、急に俺ん家に来ちゃって、なんかあんじゃねえの?」
「遊びに来ただけだから。それより、話逸らしてもだめだよ、なにかあったのは、そっちの方でしょう。丸判りなんだけど」
「ねーよ、別に、何も」

言えるか? そもそも、死にたいだなんて。格好悪いし、なんて、強くないのだと嘲笑われる。
俺は軽くハルカを交わして自室に戻る。暗い。自分が暗い。たかがライボルトが死んだくらいじゃないか。酷いことと判っていても自分を正すための言い訳はそれくらいしか浮かばない。ああ、俺はさっさと死にたいのに、世界が死なせてくれないんだ。まるで不幸を着た俺が歩いているみたいだ。事実、何の気なしに歩いて、不幸面して、ああ、楽しいと、さながらキチガイだ。

悪あがきも、反抗も、めんどくさい。死ぬときまで、誰かといるのもめんどくさい。俺の心の拠り所はライボルトだけだったのか? 笑っちゃうぜ。ああ。逃げ切りたい、この世界から、手持ちの仲間から、すべてから、夢なら覚めればいいのに、いつまでも、なんだか、犯罪みたいだ。

120225.




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