厭きるまで廻り続けてしまえよときっとだれかが嘯いて始まるのが素敵な世界の幕開け。そしてそこに私はいないのです、私は、素敵な世界を外れていた。


The world drew the intent of the foam.


その町は閑散と、まるで人っ子一人居ないみたいな町並みをしている。歌謡が幸せに笑顔を撒き散らして唄っているのにまるで誰も居ないみたいだから恐怖すら感じる。ああ、この場はなんてすべてが他人事で哀しいんだろう。慈悲も、嫌悪もなにもないこの場で私はたぶん歌謡を殺したって構わないに違いないのに。

望み叶ったあの春に、私は大切な人をなくした。叶った内容は大切な人をなくしたかったというわけじゃない。春がいけないのだ、私を意図もせず望みもしないのに泣かせるからまるでとても哀しんでいるみたいに泪で目を腫らしてしまうじゃないか。どんなに哀しく泣いても戻らないんだから、ああ、泣きたくないのにこの泪は取っておきたいのに流れる、流れるからどうして私は哀しんでいるんだろうと思った。

口付ける相手も愛想よくする相手も求愛すべき相手もまるで居ない私は、口を隠した。「泣きたい」泣きたいけど、泣いたらすべてを無にするようでそれはいけない。また一からなんて、そっから始めるなんて、無駄、無駄でしかない。私も、私がいつか愛すべき彼も、泣いてはいけない。彼を好いているから、ああ、だいすきよ、と、笑いたいのです。判って、判って、じゃないと口が足らないから、その場で理解して。
挟まった足を取り戻したいと思っても仰け反っても何しても私は私でしかなくてあの住人たちも住人たちでしかないからそれ以下も以上もあり得ない。つまりそんな世界は幻想でいつまでも見ていた夢に過ぎないのだ、きっと。

素敵な幻でした、ええそれは、誰かを馬鹿にすることもない、素敵なものでした。世界を見限ってはまるで生きづらいので笑うに努めるのです。ああ泡になりたい。そんな夢物語が私を縛り付けている。足はもげている。口付けたその足は私の愛すべき人を探す旅に出ました。もう帰ることもないでしょう。愛すべき人は次元の狭間に閉じ込められた人形なのですから。

120215.




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -