私はあなたを大好きになりたいです。
 夢に見た感情は噴き出して止まない。筒から湧き出て尚、色形を変えずに私を躍らせた。水は乳白色、味はまるで粉ミルク。それは私が赤子のようだと諭している。感情に忠実で、我を忘れて嘆く。赤子は一向に成長しない。私は一向に進まない。

 夕暮れ時、部屋を赤く染めたのは私の大嫌いな夕日であって無惨にも血ではない。
 私たち子供はいつしか大人びたことを夢に見て、考えて、実行したがる子供に過ぎない。けれどそれはきっと赤子の頃からの夢なんだろう。下劣で、卑猥で、無恥な私たちは身を隠して翻す。部屋が赤いのはきっと今の気持ちとまた必然だからだろう。

 なにもかもそれらは面白おかしく出来上がりすぎた仕組みを持っていて私を笑わせる。血が吹き出すとあなたは私を無下に扱うので悲しいと呟くと被害者ぶるなと突き放されてまた血が吹き出すのです。大好きになりたいのだと思うから、私から漏れ出した感情が周りを支配する。望むこととはまるで真逆をついてきてなんともいたたまれない私を見るのが快感だとでも言うように。
 あなたの口から漏れた唾液を舐めたら多分それは愛情になってしまうんでしょうか。跪いて平伏してそんなのまるで王と下僕のようだとげらげら笑うのです。なんて下品な癖だろうと苦虫を噛んだような顔をしているということはそれは私を、唾液を、愛情を、突き落として殺したってことになるからあなたは私を愛する権利を持ち合わせるべきなのです。

 私は笑う。もっと他人を理解して愛するべきだと。
 あなたはいつも私を怪訝に見る。俺は神でも聖母でもマザーテレサでもないと。
 だから私は言うのです。

「私の心を勝手に蝕んで勝手に快感を得るくせに、面倒になるからって引く手前でまた私の心を人かじりするのは何のためですか。いっそ潔くあなたなんて私に対しての愛情が涸れてしまえばいいのに。じゃなければもうなにも要らない。愛情も錯覚も陶酔もあなたは理解するべきだわ」

 私はあなたを大好きになりたいのです。赤子は泣きわめいて淀んだ空気を作り出す。血に染められた部屋が幻覚だろうと私はきっとあなたが聖母でもマザーテレサでもない理由はそこにあるに違いないと思うから永遠に尽きない妄想で終わるのです。

120205.




「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -