怪奇や状況や感情とか人間の五感すべてを使い果たしても、その訳なんて少しも判らないくせに死にたくなったりするなんて、果たして人間とは、生き物とは、頭脳を持つ輩とは、愚直が故に一生解り合えない気がする。月の光が青いとか、黄色いとか、黒いとか、誰が云ったか知らないけれどきっといつかそんな事を自己解釈して、朽ちて、行くんだろうなあ、とか、考えて終わる。詰まるところ、科学も解らないし、数学も解らないし、英語も理解できないんだから、難しいことなど考えたくもない。ただ月が明るいことだけは解ったけれど。
 それがなぜ明るいかなんて毛頭考えたくもないのだからそこ、黙りなさい。

「私は嘘を吐いたんですよ、全く、私めを咎めたらいいじゃあないですか」「嘘を吐いたか吐いてないかに重点を置いたって仕様がないの。ただ、嘘は信じるか信じないかってだけ」「貴女様はまるで科学者のようだ」「左様で」

 いやいや、人とは信じた分だけ損をしたり、嘘を吐いただけ何かが壊れたり、そんな怪奇を見逃して生きていけたら何もかも楽なんだと、ただそれは短絡的に解る。
 急に風が吹いたわけでもないのにぶるりと寒く身震いする。この寒気は風邪か、はたまた久々な低気温のせいかなんて誰にも判りはしない。それは結局すべてが信じた分だけ、それは嘘を吐いた分だけ、少しづつずれていくので。

111231.




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テーマ「人外ファンタジー」
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