例え話一。
ひとえにその子が(好きな相手が)自分よりも(一回りと言えば行きすぎだが)年のだいぶ離れた若い子だとした場合、たじろぐのが男で、更に遊ぶのが女である。母性本能と変態の分類である。私は彼に母性本能を抱いてそのフィルターがかかっているからこそまるで子供や弟のように感じて好きなのだろうか。いいや、断じて違う。これは恋だ。と、私は思うのだ。
例え話二。
彼が私をさして興味ないと突っぱねた。その場合泣き落とすのが上等だろうが私は違う。私も突っぱねる。こちらもほとほと愛想が尽きました、さようなら、と意地悪く応対する。彼はまるで、有り得ない、と言った顔をして毎回私を諭す。私はほだされた気分でにやりと笑って見せるのだ。
例え話三。
これは例え話でない例え。私は彼に問い詰めた。
天田くんは私よりも若いけどもね、天田くんが万が一私をすきってなったって私はまったくいやじゃないんだけど。
彼は歳も顔も語彙も書く文字も声も身体もぜんぶぜんぶ子供なくせにいつも大人ぶってブラックコーヒーを飲んで見せたり、けど実は苦いのを我慢していたり、戦隊ものやヒーローものが好きなのに、まったく興味ないし好きじゃない振りをしたり、それはよく我慢をする子供で、そしてたいへん大人に憧れてて、でも思うよりも大人になるのは時間がかかることも知っている。
頭の中は子供らしい要素は排除されている。私は、実のところ本当は彼は子供以上に子供で、きっととても甘えたいに違いない。母親も早くに亡くなった彼には甘い感情なんて最初から味わったこともなく。誰からもどうこう言えた話じゃなかった。彼の思考回路と精神年齢はなんだかんだ母親を亡くした瞬間から止まっている。と、勝手に思っているがしかしそれもあながち間違いないと今確信を得た。だって今の彼はすごく子供らしい顔をしていて、よくわからない、って顔をしていて、なのに見ていてなんだこましゃくれたくそガキめ、と思わない。たまに思うことならある。彼に甘い好意を持ちながらも物騒なことはたまに思う。
でもね天田くん。君は実にかわいいね。

そして彼は私の問いに実に真摯で天田くんらしく子供っぽい返しをしてくれた。

あなたのことは、まだ、その、押し倒したいとか思うような感情はないですから!


ああ。天田くん。君はかわいいね。

111231.



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