なけなしのお金は彼にすべて貢いだお陰で無一文に。そこはかとなく、感情をすべて持ってかれた。ああ、神よ、黄金の鳥よ、私をどうか安らかに。


「コトネじゃないか」と後ろから囁かれ不意に「あっ」と言葉を漏らして気持ちを崩した。ああ、この気持ちは棄てたくないと考えて、何か用? とそつなく返すのがオチである。この気持ちには覚えがあるから棄てたくない。
「どうもしないけど見えたから会いに来たんだ」と、全くもって不感症、無頓着、私は無一文。こんな糞みたいな彼は誰が愛するんだろう、少なくとも私は、

あなたを愛している。

「見栄張っても意味ない。見えたから会いに来ただなんてばかみたい。私の懐を探りに来たんでしょう? それがたまらなく快感、それこそがたまらなく必要とされてるみたいで嬉しい。ねえ、ねえもっと、私はあなたに貢ぎたいよ。でもお金はあなたにもう吸いとられてしまってないけれど、お金じゃなきゃいけない理由なんてこの世にはないでしょう? まだまだ私は余っているから使って。埋めて、愛情で、もっと。」


使い捨てでも構わない。今が幸せなら、今が良ければなんだって構わない。私は彼が嬉しければ嬉しいのだ。ああ、神よ、仏よ、黄金の鳥よ。私を癒したまえ。私を、心を幸せで一杯に満たしたまえよ。

垂れ流されたものは消えてなくなり、それはもう取り戻すのも億劫だ。ああ、彼はなおざり。もう二度と私をがっかりさせないでおくれよ。笑って頓珍漢を装えよ。



神は嫌いよ、不平等だと誰もが笑うし、天罰はとてつもなく厳しいし、自分が優位に立っているとわかっているから。きっと、神と言ったって人間に違いないのだから。

111130.



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