真っ白とまではいかない、そんな無音無色彩の世界を上から傍観している。
ややノイズが入る視界は、まるで古いディズニー。白黒のミッキーマウスのアニメとまるで酷似しているので、懐かしい反面無音がおぞましい、と思う。

そこは駅のホームだった。ホーム以外はただ真っ白な空白でそこにはぽつんとそれだけだった。
女の子が列車に乗って男の子を見送る様子で、だが、互いにただまるで無表情だったので、少し背中がぞわっとする。
男の子もまた同様に無表情で、けれどどこか悲しい別れの雰囲気は感じ取れる。
ジリリリリリリリ、と列車が発車ベルを鳴らすと男の子はさようならというように女の子に手を振る。女の子は尚も無表情であった。
列車が、ガタガタッ、と少し揺れ、列車は動き出した。
ザ――――、という静かな無音とノイズが透き通った聴覚に突き刺さる。

暫くしてなぜか果たして地震なのだろうか揺れが起きて、列車もグラグラと揺れる。それは、激しくも左右に。
暫くそれはただ揺れ、女の子は無表情のくせに眉間にばかりやや皺が寄るので気味悪いのだ。男の子は、細やかに笑っている気がしてまたそれも吐き気がする。

揺れがただひたすらに酷くなり、遂に列車はホーム以外何もない右の空白に沈んでいった。

ああ、なんと、おぞましや!
これは不吉か、不運か。いや、夢か!

気味悪く笑う男の子の顔に焦点が合う。ジリジリとノイズ音が鼓膜を引っ掻き、男の子の眼の中に吸い込まれて消えた。

真っ暗な場所。なにも聴こえない場所。誰もいない場所に堕ちて恐怖で目が覚めた。

20111018




「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -