もしも私たちに幸福でいることが赦されているならば。もしも私たちが人の目を盗んでまで幸せを掴んだとして、もしも私たちが悲しみや一生癒えない傷や抜けきらない血やらを抱えたまま街に放り出されたとして、そして私たちは身動きがとれないならば。誰が私たちを赦してくれて、足枷を外して自由にしてくれるのだろうね。一方的に影を踏まれて離れられなくされているんだ。こわいな、と思って怖さを知って、一体知ったところで血の気が引くわけでも卒倒するわけもなく、ただ無言無表情で影を踏まれ続けるのだろうね。「意見異論苦情感想全て受け付けぬ!」独裁政権は健在だ。「私の話を、聴け!」そうだ。きっと、きっと影踏む人々は私たちが幸福でいることが赦せない。憎しみで一杯で、私たちを殺したいのかもしれない。影と言う背後に怯えたって、判りも定かでもないことを掘り返したって私たちは痛くも痒くも、血も涙も、笑顔も死んだ顔もなにもないんだ。あああ、きっと、皆して私たちが嫌いで、殺したいくらい憎くて、私たちはその憎悪を食べて生きてるんだ。美味しくもない。終わりもない。始まりもない。いつからか始まって、きっと終わりのないこの悲劇は幾度も繰り返されている。またここから、また始めから。ああ。もういいから、この影を踏む足をはずしたまえよ。多分あなただって苦しいはず、なるほどしかしあなたの足枷はその足にあるように思えた。私たちの元凶は影を踏むその足然り、もとい足の張本人で。その張本人の災悪を呼ぶのもまた私たちであって。きっと相容れぬものだったに違いない。お互いがほだされあって緩いんだ。だからこんなにも、悲しい悲劇が。
2011/9.1/木 午前7:15



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