頭がおかしくなりそうだ。頭がおかしくなりそうなんだ。りんごが腐りましたし、レタスも腐りました。だから頭がおかしくなりそうだ。まるで世界の中心に私が立ったような、そんな気分にさせられた。侵食されるんだもの。感染するんだもの。意思の弱い私は相手の投げ掛ける一言一言を弾き飛ばして平静を保つんだもの。死にたいとか消えたいとかうざったいとかどうでもいいとか。他人の感情が黒く渦巻いた塊が私を押し潰すから、私は相手の口を引き千切りたくなるんだ。黙れ。黙れ。ああ頭がおかしくなりそうだ。私の意思は私の心とは裏腹に、ぶっ壊してやると思っている。黙ればいいのに悪足掻きを、している、みんなが一斉に。どこに足を向けてもどこに目を向けてもどこに耳を傾けても、私の元に辿り着くのは、私の視界に見えるのは、私の聴覚に届く声は、死にたいと死ねとふざけるなという愚直の集まりで、頭がおかしくなりそうだ。否、元から頭がおかしいのはみんなの方だろうか。感染も、自意識も、全て孕んで近寄られて冒されて馬鹿になって躍り狂うんだ。

 あっあっあああああああああ

 声が木霊する。



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テーマ「人外ファンタジー」
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