眼に視得ないものは少しも恐くないです。視得ないものが致死であっても、視得ないなら視る必要もなく、得る必要もなく、与えられる必要もないです。だってそれは、確実に無実。

 甘味がほしいのです、そう、苦味の強いものにまとわりつかれて、甘味がただ、足りないよ。

 何より恐いものは、ただ届かない電波。続かない妄想。淡い紫とピンクの妄想。止まらない。きっとそれすら応答なし、反応皆無、返事不能。それは、街灯に写された、反応の行方でした。

 皆々様に声を聞かせましょう、甘い蜜をくっ付けたくちびるから、だるい声を漏らしてね。でも届かないなら、喋る必要はないです。掻いても、掻いても、治らぬなら、きっと先がないと言うのです。それは、要らないという事で、視得ないものの、思し召し。

 甘い夢を魅せましょう。突っ込んだ穴に暗闇なんて要りませんので。

 街には、甘い甘い、雨が降って、甘い甘い、夢を見せた。微睡んで、ぷわぷわと心が浮いて、眼を潤ませた。口から誰一人として、言葉が漏れなくて、心は、溶けてなくなった。

 視得ない、視得ない。苦い雨も、不味い夢も、なにも視得ない。それは神様が決めた否認。要らないよ、と、思ったり、視たくないよ、と思ったり、勝手だ、勝手だ。でも視得ないから、しょうもないね。
 甘さは、要らないかもしれないしね。

 一儲け、したい。甘い夢がほしい。隣に居るのが甘い少女だったら好い。甘い、甘い秘密がほしい。私は、甘い秘密を知りたい。

 甘い秘密は、おそらく、実は、酸っぱい。げぇぇ、とえげつない声を吐いてしまいかもしれない。でもその、満面の甘味は、私を溶かすのかもしれない。


 心はいつも、甘いままです。

110320.




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