昨日の夜、今日の朝、明後日の昼。
朝食の目玉焼き、昼御飯のおにぎり、晩御飯はスーパーの惣菜がわんさか。
ちょっとした事で腹を立てている主婦と、澄まし顔でつんとこちらを見る猫と、学校から嬉しそうに帰宅する従妹。
曇りの日の黒板、晴れの日の廊下、雨の日の下駄箱。
省エネの電化製品、エコ推進の環境省、ごみが集まる収集所。
放課後のジュネス、雨に遭ってびしょ濡れで帰った家、知らないにおいの自室。
机に置かれた内職のもの、点いてないテレビに写るやるせない自分の顔、窓から見えるまっさらな田舎風景。
布団を敷く自分を客観視する。学校帰りに晩御飯の買い物をする自分を見る。自転車の悪操運転常習者の陽介を見て笑う。台風の後のような真っ青の空を見て、叔父の横暴さを見て、ジュネスに行ってテレビの中に入って疲れて、鼻で笑う。
陽介も千枝も雪子もりせも完二も直斗にも有った影を見て、息を飲む。自分の本性を知れずに帰る。ただ、討伐して、他人が裏の自分に納得しちゃって帰る。何も収集はない。

たぶん、という時、おそらく、という時、大丈夫だ、と言えた時。
泣いた人を見たあの別れ際、笑う人に誓った約束、誰も知らない都会での自分。
彼らは、もう寂しくて泣きすがることもないだろう。
そもそもすがる人も居なくて、それでいて、泣く理由もなくなってしまっている。

単調に、生きたいように生きていた気がしたそれは、あの人に誘導されていたと思うとヘドが出る。
成すがままで、成り行きで、それでいて濁流に流されていたんだ。汚いものを汚いもので流してきれいになったつもりでいたんだ。激流からは逃げられないんだ。



母と父が俺を放して一旦外国に行ったあの日、陽介たちが団らんとなって一年を楽しませてくれたこの年、また来年の夏休みに来るなどと言えず駅の後ろでなんとか言う陽介たちを振り返れなかった今日。

もう後戻りなんて赦されなくなった今。

101105.
101114.




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