やめろ。
やめろ、やめろ、やめろやめろ。
うるさいうるさい。やめてよ。
やめてよ。聞きたくない。声が低くなる。
浮かない顔しないでよ。喋るのもやめてよ。耳障りなんだよ。そんなの、聞きたくないよ!
どうしようもなく、耳障りな、その、声を出すのは、その、喉?
話したいのは、要は、何?
回りくどいこと、しないでよ。
思考を止めたら、以後動かなくなるの。詰まるところ、聞けばまるで自己完結な、その話のオチは、何?
しかしなるほど、これでは中身がなくて、聞き手なんて、私じゃなくてもいいじゃないか。
放置したら、腐る植物のように、人間も、放置すれば腐ってしまう。水をかけなければ、干からびる植物のように、人間も、放置すれば干からびてしまう。
その口から出る言葉はまるで意味をなさない。相槌さえもだるい。
優しくしなければ死んでしまううさぎのように、暴れなければストレスで死んでしまう病的なもののように、人は、人は、相手によって変わる。にやりと、影が笑う。
語彙が少ないね、と彼は言う。
そんなことない、と私はすねる。
すねたね、と彼は言う。
そんなこと、ないと私は俯く。
「か…からかうのは、やめて…」
彼は、語彙が足りないと、笑った。
110219.
松葉と琴音