桜が早めに咲いてしまった三月の始まり、これでは入学式には散ってしまうのにと考えていた、夕方の帰りである。
寒い寒い冬を乗り越えた最中、学業と家庭という言葉がいくつもテレビからも新聞からも他人からも母からも飛び交うので、なんて人の心をわからないばかやろう達なのだこれは、本当にあり得ないと思った次第である上に、その状況下にぽつんとひとり取り残されれば精神状態が極限までに削られたわたしの心はなんとも悲惨であるのは、目に見えてわかるわけだ。
夕食に食べる自分の分だけの食材なんて、安い菓子パンでいいのだ。決して食べ過ぎては、いけない。

寄り道が多くなる晩御飯調達の帰り、時間稼ぎである。それは四月の始まり。
桜はなんとか咲いたままであった。制服は図らずも割と窮屈だった。
意外とスカートが短いと感じたある朝の事。母は居ない。飼ってる動物も居なければ父親も居ない。というか、私は親族の事をよく知らない。身寄りがない。母は同居している事にはなっていた。誰も居ないのに羽目を外さないなんて可笑しいくらいだよなと、ふと思って私は母が居ないのにわざわざ学校へと足を運んだ。
前方からいかにも友人のために学校に来ています、何て言ったような学生が集団登校していた。割と早足な私はさっさとその集団を追い越してしまいそうだった。その気をぐっと堪えて、ゆっくり気付かれないように歩いていた。
学校に着いたのは、いつもの時間より三十分遅かった。

110117.




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