※ヤってるだけ



リハビリ




「入れるぞ」
「わかっ、てる」

元々排泄器官のはずが、いつの間にかこの男によって性器へと変えられてしまった。
指先で擽られるだけヒクヒクと穴が開閉し、先ほどたっぷりと注がれたローションが愛液のように零れた。まるで誘っているようでそれを見ては満足そうに笑われて気恥ずかしさに唇を噛む。

「あ、ぁあッ」

ズプ、だとかヌチュ、という耳を塞ぎたくなるような音を立てて大きすぎるペニスが体を貫いた。
いくら体を重ねてもこの大きさに慣れることはなく、きゅうきゅうとペニスを締め付ける。
狭い穴にその太いペニスが馴染むのを待つことなく抜き差しが開始され、睨むように後ろを振り返るがすぐに喘ぎ声が混じってしまいそれも反抗にはならない。
奥まで貫かれれば高い声が馬鹿みたいに漏れて、引き抜かれると肉が引き摺られる感覚に甘い息を吐いた。
ガツガツと貪るように奥まで突かれて、ヒュウヒュウと喉がなる。

「や、やぁあッ、あ!ぁあっ」
「こういうときのッ嫌ってのは…イイ、なんだろ…ッ」

オジサンくさいよ、シズちゃん。そう言ってやりたいが後ろをめちゃくちゃに犯されていれば口にする余裕なんてない。
もはや言葉をうまく繋げることも、うまく呼吸をすることも難しい。

後ろから貫かれるのは、好きだ。
上から玉になった汗が背中に降ってくることも気にならない。
まるで動物のようにそれだけしか考えられないように頭が真っ白になる。
穴だらけだったパズルの最後のピースを埋めたような満足感。肉体的にも精神的にもぴったりと当てはめられている気分だ。

勃起して腹を打つペニスから溢れた先走りはへその下を濡らしてそろそろ限界だ。
もうすでに体を押さえきれなくなった腕で枕を抱きしめて顔を押し付ける。
枕は涙と唾液でぐちゃぐちゃだ。

「あ、もうやだッや、イっちゃう!イく…イく!」
「いざや…ッ」
「シズちゃ、おれも、だめっ…ぁああッ」

枕に埋めたまま限界を訴えて自分の腹とシーツを汚す。
久しぶりだからいつもより少し飛んだ気がする。
それでも構わずに射精に伴いより一層強くなった締め付けの中、ペニスは止まらなかった。
射精してしまえば強すぎる快感は苦痛でしかないはずなのに、苦痛の中から既に快感を拾っている自分が悔しい。

「ばか、もう無理だって!」
「まだイってねぇんだよ…っ」
「はやく、イって…よ!」

微睡んだ思考の中でただ穿たれる衝撃だけが自分を支配する。
息がうまくできないくらい打ちつけるくせに、さらに後ろから抱きしめられて酸素を求めた。
みし、と骨が軋むほど強く抱きかかえられて視界は酸素不足で白く霧がかかる。

「いざや、すき、だ…ッ」

言葉を音でしか認識できない今だから言うのだ。
ずるい。

中を締め付けている自覚はないが、息が詰まれば自然に狭くなっているらしい。
今まで以上に膨らんだ先端から熱い飛沫が溢れて、決して孕むことのない中へ注がれる。
それでも心は満たされていった。


「かはっ、はぁ…は、最悪」
「……悪い」
「…殺す気?この俺が腹上死なんてシズちゃんは願ってもないんだろうけど」

やっと呼吸が自由になって視界がはっきりし始めた。
飛び散った精液の後始末は任せて、背を向けたまま顔だけ振り返る。

「終わった後くらい黙れねーのか」
「甘いピロートークなんてごめんだよ」

嘘だ。
何を話しても甘ったるくなってしまう空気に堪えかねているだけ。
汗ばんだ金髪からのぞく首筋、気怠い目線、すべてから色気がだだ漏れていることに自覚をもってほしい。
喘ぎすぎて話すのすら辛いのにわざわざベラベラと喋るのなんてそれこそごめんだ。

「明日、仕事なんだよ俺」
「仕掛けてきたのは手前だ」
「シズちゃんがヤリたそうな顔してたから仕方なく誘ってあげたっていうのに」
「……うぜぇ」
「ほめ言葉だよ」

大きな腕で抱きしめてほしい、羊を数える代わりにキスを降らせてほしい。
でもそんなのは俺じゃない。俺たちじゃない。

だから今日も顔を背けて目を閉じる。



明日目が覚めてもまだ背中に体温を感じていることを祈って。




110113 更新
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